慣れ親しんだシステムと戦術をより円滑にすることと、チームを去った昨季攻撃陣の主力マイケル・オリーズの穴を埋めることだ。

　ひとつ目はともかく、ふたつ目は簡単ではない。なにしろそのフランス代表アタッカーは、多くのビッグクラブが興味を示したなか、推定移籍金6000万ユーロ（約94億8000万円）でバイエルン・ミュンヘンに引き抜かれたほどの才能の持ち主だ。

　加えて、強力なライバルもいる。

鎌田はバーレーン戦で先制点のPKを導き出したが、パレスではレギュラー争いが待ち受けている　©JIJI PRESS

　ジャン＝フィリップ・マテタとエベレチ・エゼの定位置は確定的として、残る1枠を共に新戦力のエディー・エンケティア（元アーセナル）、イスマイラ・サール（元マルセイユ）と争わなければならない。

　あるいは中盤センターで起用されるとしても、今年2月の加入直後からレギュラーとして大活躍した20歳のアダム・ウォートンや、7月にコパ・アメリカで準優勝したコロンビア代表ジェフェルソン・レルマ、マリ代表シェイク・ドゥクレ、熟練のイングランド人ウィル・ヒューズより優先される必要がある。

　今のところ、鎌田は旧知のグラスナー監督の信頼を得て、ここまでの全公式戦4試合のうち、3試合に先発している。プレシーズン最初のトレーニングで、マテタとのシャトルランを完全に制し、状態の良さを示したこともあるだろう。

鎌田「要求は理解できている」「チームの力に」

　だがブレントフォードとの開幕節では、1-2と敗れた。70分にジョーダン・アユーと交代した鎌田は、試合後にこう語っている。

「監督の要求は理解できているので、自分はもっとよくなれるはず。チームの力になりたいです」

　翌節のウェストハムとのホーム戦（0-2の敗北）では先発を外れたものの、3日後のノリッチとのリーグカップ2回戦ではスタメンに戻り、開始早々にマテタのスルーパスに抜け出し、GKを鮮やかにかわして先制点を奪取。さらに後半には右サイドからクロスを入れて、マテタのオーバーヘッドによる追加点を導き出した。

「JP（マテタの愛称）のパスが完璧でした」と鎌田は自身の移籍後初ゴールを振り返った。「自分にとって初得点ですが、これはチームのゴールです。それからチーム全員、守備のタスクもまっとうできた」

　また今シーズン初白星を手にしたグラスナー監督は、試合後の会見で次のように話した。

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