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ボクシングPRESSBACK NUMBER
ドヘニーの身体が真っ赤に…戦意喪失させた井上尚弥のボディ“驚くべき特徴”とは?“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之が感じた「重さ以上の痛み」
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/09/07 11:28
序盤から右ボディストレートを多く放った井上尚弥
ドヘニーが攻め込めなかった理由とは?
この試合、井上は5月に東京ドームで行われたルイス・ネリ(メキシコ)戦とは打って変わって、立ち上がりから慎重だった。陣営は「丁寧に」「慎重に」をテーマに掲げて、リングに上がった。
――井上選手の試合の入りをどう見ましたか。
「前回(ネリ戦)のダウンもあったと思いますし、ドヘニー選手が強打者という情報もありましたから、いつにも増して4ラウンドくらいまで慎重でしたね。ただ、すごく慎重だけど、プレッシャーをかけている。最初はドヘニー選手が意図して下がっているのかと思いましたが、体の大きなドヘニー選手が明らかに下げられている。手を出さなくても対峙している人間からしたら、ものすごくプレッシャーを感じていたんだと思います」
――ドヘニー選手も守りに入っていて、攻め手がないように見えました。
「どうやったら一番攻められるか、と頭の中でこうしよう、ああしようとすごく考えているんですが、対峙していて井上選手に全部潰されているんだと思いました。井上選手はあえてドヘニー選手が左を出しやすい位置にいる、でもドヘニー選手は打てない。相手の得意な場にいるんだけど、井上選手がさらに上をいっていると思いましたね」
――と、言いますと?
「ドヘニー選手が何回か左を出して、そのたびに井上選手の左フックの相打ちが飛んできた。当たっていないけど、ドヘニー選手がもうちょっと踏み込んで強い左を打っていたら、井上選手のカウンターが当たっていたと思う。ドヘニー選手もそれをわかっている。だから左のロングをほぼ打っていない。(左フックが)来ると思っていたんでしょうね。なので、2人が見合う時間が長くなったんだと思うんです」
《インタビュー後編に続く》