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「オレが一番喜んでるよ」山本由伸から届いたメッセージ「100日ぶり一軍登板」オリックス・宇田川優希の長い苦闘と“小木田世代”の絆
 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2024/09/08 11:04

「オレが一番喜んでるよ」山本由伸から届いたメッセージ「100日ぶり一軍登板」オリックス・宇田川優希の長い苦闘と“小木田世代”の絆<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

苦しみの時を経て戦列復帰した宇田川。その陰には同い年の仲間たちの絆があった

 “小木田世代”とは、オリックスファンにはお馴染みだが、昨年までオリックスのエースだった山本や、宇田川、山崎颯一郎、小木田敦也といった1998年生まれの世代のこと。好投手が集まって刺激し合いながら成長し、昨年は4人揃ってリーグ優勝に貢献した。一軍に定着したのはこの中で小木田が一番遅かったが、宇田川があえて“小木田世代”と名付けた。

「由伸まだ野球やってんの?」

 だが今年は、宇田川や山崎が不調のため長期間二軍で調整。シーズン序盤にブルペンの大黒柱となっていた小木田も、5月に右肘尺側手根屈筋の筋損傷のため登録抹消となり、慎重に復帰を目指している。一軍に1人も“小木田世代”がいない状況が続いていた。

 そこで山本の「なにしてるん?」である。

 ただその山本も、6月に右肩腱板の損傷で負傷者リスト入りし、メジャーのマウンドから遠ざかっている。

 だから国内の小木田世代もこう言い返した。

「由伸まだ野球やってんの?」

 気心の知れた同士のいつもの憎まれ口、茶化し合いだ。

 世代のグループLINEには今季DeNAに移籍した中川颯も入っているが、宇田川によると、基本的に「由伸が暇な時にしかそのグループ(LINE)は動かないっす」。

変わらない「小木田世代」の絆

 8月27日に宇田川が復帰登板を果たしたあとには、宇田川の個人LINEに山本からメッセージが届いた。

「復帰おめでとう。オレが一番喜んでるよ」

 宇田川は照れくさそうに言う。

「ま、たぶん嘘っすけど(笑)。でも気にしてくれてるのは嬉しいです。由伸もあっちで大変だとは思うんですけど」

 山本も順調にリハビリを重ね、マイナーリーグですでに2度登板。9月10日(日本時間11日)のカブス戦でメジャーのマウンドに復帰すると報じられている。

 海を隔てても同世代の絆は変わらない。笑い合い、刺激しあって、ともに完全復活を目指す。

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