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「ラーメンも好きですけど…」柔道・角田夏実が“じつは悩み続けていた”過酷な減量…パリ五輪金メダルの裏にあった「階級変更」の大決断
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA
posted2024/08/27 11:04
パリ五輪で金メダルを獲得した角田夏実。栄光の裏には、過酷な減量との闘いがあった
金メダリスト・角田もじつは何度も試行錯誤してきた
はじめて48kg級で出場したのは2019年9月の全日本実業個人選手権。
「そのときは、びびって1カ月半ぐらい前から落としました。減量自体はクリアできたけれど、そうなると筋肉の量もかなり落ちちゃうんですね。しかも大会の後も、1カ月くらい体重が戻らなくて、50kgちょっとぐらいになっていました。体力面でも、自分が軽い感じで、ふわふわ浮いている感じがありました」
本格的に転向を決めて最初の大会、2019年11月の講道館杯では、ペース配分を変えた。
「52kgくらいにしておいて大会前の10日ぐらいで無理やり落としました。その後の大会ではいろいろ試して、やっと今の形でできてきたなと思います」
「私の減量方法はあんまりよくないと思うんですけど…」
具体的にはこうだ。
「だいたい3週間ぐらいで落としていきます。運動量もけっこう増えますね。特に有酸素運動を増やしていきます。やり方は勉強してというより、やっていく中でつかんでいった感じです。食事も落としていったり、食べ物をちょっとヘルシーなものに変えていきます。工夫している点をあげれば、例えば塩分量を減らしたり、濃い味のものを減らしたりすることでしょうか。あとはトマトとかバナナといった、カリウムが多いものを摂ると汗が出たり塩分が出てくれます。
大会の1週間前くらいには50kgほどにしておいて、そこからあと2kgは2日くらい『水抜き』で落とします。水抜きというのは、運動してカロリーを消費するとか水を飲まないというよりも、お風呂で水を出すようなものです。1kg減らして500g飲んで寝て、朝起きて500g減っていたら朝ご飯を食べて……と水分調節でやっています。私の減量方法はあんまりよくはない、最後の水抜きなんかは特によくないと思うんですけど」
食事をコントロールすることで、「願望」も出てくる。
「甘いものとかはもともとそんなに食べなくて、たまにぐらいだったんですけど、減量のために我慢しだすと、かえって食べたくなります。ラーメンもめちゃめちゃ好きなんですけど、1カ月前ぐらいからやめます」