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「なよなよしたバカなガキだった」ザック・セイバーJr.はなぜG1の頂点に立てたのか? 日本在住レスラーの素顔「引退後も日本に…」「両国が世界一」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/08/21 17:00
辻陽太からギブアップを奪い、『G1 CLIMAX 34』を制したザック・セイバーJr.。外国人レスラーとして2人目の優勝者となった
「日本で最高のレスラーになるためにここにいる」
ザックは14歳の頃、日本に行きたいと思ったという。
「多くのレスラーは日本を、自分が行きたい場所にたどり着くまでに経験する過程のひとつだと考えている。でも、オレはキャリアを終えても日本に住んでいるかもしれない」
G1のAブロック。鷹木信悟と海野翔太を相手に星を落としたが、7勝2敗の1位通過で準決勝にコマを進めた。
8月6日の後楽園ホール。EVILにわずか19秒の頭脳プレーのエビ固めで勝利した。
8月8日の横浜武道館。ゲイブ・キッドとは胸を真っ赤に染めてこれでもかというほどのチョップ合戦を繰り広げた末、ゲイブを締め落とした。
8月17日、両国国技館。準決勝では鷹木からヒザ十字固めでタップを奪った。
「新日本プロレスに来て8年目。キャリアの中で初めて、自分に疑問を感じ始めていた。『G1』で優勝できるか? 自分が思っているほど、自分は優れているか?」
ザックは自問自答していた。
「今年でなければ……今年はニュージャパンのトップに立つための最後のチャンスだった。ここにいられるというだけで、オレは満足してない。オレは日本で最高のレスラーになるためにここにいるんだ。そしてそれは今年でなければいけなかった」
さらにその先の野望を口にした。
「G1はステップその1だ。次は、IWGP世界ヘビー級チャンピオン。そしてステップ3は東京ドームのメインイベント。みんな、ステップ2と3をセットで考えていると思う。でも、ファンとしてのオレは、来年の東京ドームのタイトルマッチまで待つなんて、退屈だしバカげてると思う。わがままかもしれないが、8年ニュージャパンで過ごし、20年この業界で過ごしたんだ。これ以上待てない。それに両国でなくては。ファンサービスという意味だけじゃなく、世界で一番、ここでレスリングをするのが好きなんだ。両国国技館みたいな会場はどこにもない」
「なよなよしたバカなガキだった」少年時代を回想
折よくロンドンでの『Royal Quest IV』(クリスタル・パレス・ナショナル・スポーツセンター)が10月20日に行われることが発表された。