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「日本人選手が食堂にいない…」いったいなぜ? パリ五輪「不評だった選手村の食事」のウラで…大躍進フェンシングを支えた“超人気店のおむすび” 

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齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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photograph byRyosuke Menju/JMPA

posted2024/08/15 11:02

「日本人選手が食堂にいない…」いったいなぜ? パリ五輪「不評だった選手村の食事」のウラで…大躍進フェンシングを支えた“超人気店のおむすび”<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

フェンシング男子エペ団体で銀メダルを獲得した日本(左から見延和靖、加納虹輝、山田優、古俣聖)。選手たちの胃袋を支えた“超人気店のおむすび”とは

 選手村では種目別に分けられたグループごとに相部屋が割り当てられ、バスルームなどもほかの選手たちと共有するため、プライバシーが守られた住環境とは言いづらい。中には選手村を飛び出して、自分でホテルを予約した選手もいたほどだ。

日本人選手が食堂にいない…いったいなぜ?

 肝心の食事面はどうか。開会式前日、選手村の食事の感想を聞こうと、1時間ほど食堂で待ったが、日本の選手の姿をひとりも見つけることはできなかった。アメリカ、中国、韓国、メキシコ、ザンビア、イギリスと多くの国のジャージを見たが、日本のアスリートがいない……。日本のアスリートがいないのだ。

 食堂に着く前には大会序盤に出番が待っている柔道の選手や、こちらも大会前半に試合を控えているバドミントンの選手の姿を見かけた。しかし、選手たちは一向に食堂にはやってこない。取材を進めると、単なる偶然ではなく、食事面を「味の素」が陰ながらサポートしていたのだという。担当者が明かす。

「階級のある柔道では減量食や回復食が重要になります。自分たちは阿部一二三・詩兄妹などの栄養サポートを選手村近くに作った拠点で行ってきました。また、バドミントンの日本代表には『勝ち飯』会という形でこれまでの世界大会でもサポートしてきて、今回もパリにて実施しています」

大躍進フェンシングを支えた“心強い援軍”とは

 食事面で手厚いサポートを受けたのは、柔道やバドミントンの選手だけではない。今回の五輪でメダル5個を獲得し、躍進を果たしたフェンシングも食事の面で「ある援軍」があった。

 男子エペ・加納虹輝が金メダルを獲得した7月28日。出陣前の日本人剣士の部屋には「おむすび」があった。同じく個人戦に出場する見延和靖、山田優の分も含めてあわせて20個。作って届けたのは「おむすび権米衛」フランス法人代表・佐藤大輔さんだ。

「2年前からフランス遠征の際にはおむすびの差し入れをさせてもらっています。個人戦のときには3人に対して鮭、梅、昆布、高菜の4種類、計20個を差し入れました」

 日本では関東圏を中心にチェーン展開している「おむすび権米衛」。パリにも2店舗があり、1号店のパレ・ロワイヤル店は昼食時に最大60人が並ぶほどの盛況ぶりだ。じつは日本を含めた「おむすび権米衛」の店舗の中で一番の売上(2023年度)を誇る大人気店でもある。

【次ページ】 知られざる“メダル宣言”「長丁場になるので当日昼に」

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