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“現役慶大生の金メダリスト”飯村一輝20歳とは何者か?「試合前日にインスタライブ」「髪型をキメてパリへ」フェンシング“かきあげ王子”の令和な素顔
posted2024/08/07 19:01
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
フェンシング男子フルーレ団体、金メダルの瞬間。飯村一輝はマスクを脱ぎ捨て髪をかきあげた。勝利を実感するように左手で何度も頭をなぞる。両腕を広げ、大歓声が一身に集まる。それは3年前に高校の体育館で思い描いた景色だった――。
コーチも絶大な信頼…“かきあげ王子”20歳の素顔
3年前の夏、当時高校3年生の飯村は京都・龍谷大平安高校の体育館にいた。太田雄貴を教えた父・栄彦の影響で剣を握り、フェンシング界のスターと同じ五輪の舞台を目指した。しかし、その願いは叶わず、代表選手の練習パートナーとしてその日を迎える。あえて試合の映像は見なかった。
「東京五輪の試合が開催されているとき、僕は練習をしていました。事前合宿に参加して、目の前で対戦する選手は五輪に行くけど、僕は行けないんだってことを目の当たりにしてすごく悔しい思いがあった。でも、東京五輪に行けなかったという後悔の念をずっと引きずるのではなく、すぐパリ五輪に向けて気持ちを入れ替えることができたと思います」
切り替えの速さが持ち味の若武者には、男子フルーレ団体日本代表を指導するフランス人金メダリストのエルワン・ルペシューも絶大な信頼を寄せる。
「カズキは自分の気持ちをコントロールすることができる。それが強みです。彼は少しチームが脱線した時に、すぐにレールの上へと戻す役割を持っています。たとえ一番若い選手であってもそれができます」
身長170cmと他国の選手に比べると小柄な体躯に強いハートを宿す。京都育ちのはんなりとした語り口、貴公子然としたセンターパートの髪型も特徴のひとつだ。
試合中、よく見せる動きがある。顔を覆うマスクを取り、汗に濡れた前髪をかきあげる。何度も何度も。個人戦では気持ちを落ち着かせるため、あえてマスクをとって髪に手をやるなど戦略的な“かきあげ”も駆使。競技中は顔が見えないが、マスクをとってよくかきあげる様を見ていると“かきあげ王子”という言葉を当てはめたくなる。髪型について聞くと「パリでずっとこの髪型でいけるようにセットしてきました」と胸を張る。ちなみに父、弟も似たような髪型だ。
記者もビックリ「団体戦前日に選手村でインスタライブ」
団体戦の前日の夕方、記者はInstagramの通知を見て驚いた。なんと、飯村が選手村の共有スペースで生配信のインスタライブを行っているのだ。大一番を直前に控え、視聴者の質問にデッキチェアから答える様子に、「緊張を楽しめる性格」という自己評価は本当だと改めて感じた。なお、五輪期間はほぼ毎日Instagramのストーリーを更新中だ。