「フィリップ・ブラン現監督がコーチの時に僕はやらせていただいたんですけど、やはり代表監督など豊富な経験がある人の口から出たものが僕らの中に吸収されていくのは、非常に新鮮でしたし、それが8年かけて今の代表にフィットしているんじゃないかなと。ずっと彼が言い続けていたディフェンス面や、サーブ、サーブレシーブで日本が優位に立つというところを、選手が体現している。何年もほぼ同じ選手がフィリップ監督と一緒にやってきているので、そのイズムがしっかりとチームに浸透していると思います。

2017年にコーチとして来日したフィリップ・ブラン（64歳）©︎Volleyball World

　あとは、石川選手や高橋藍選手（サントリーサンバーズ大阪）が、イタリアの中でもトップを争ったチームを経験している。日本人も、海を渡っても戦っていけるんだと、おそらく他の選手の自信にもつながっていると思います。僕が代表にいた頃は、石川選手もまだイタリアでトップに行く途中で、他にトップでやっている選手もいなかった。それに対して強豪国の選手は常にレベルの高いリーグのトップでやっていて、そういうチームと対峙すると差も感じましたが、今は見ていてもまったくそれを感じない。

　むしろ今の日本は、他の強豪国にはできないバレーボールをやっているなとも感じます。日本にしかできないバレーを体現しているから強いんだと、すごく感じます」

　他の強豪国にはできないバレーとは。

「1つはフロアディフェンスの堅さ。メインでコートに立っている選手の能力の高さはもちろん、そこから派生して、誰が出てもレベルの高いディフェンスを維持できている。

　あとは、トランジション（相手スパイクを拾ってからの攻撃）での攻撃の幅の広さ、手数の多さというのをすごく感じる。正攻法だけじゃなく、状況によってはサイドの速いコンビネーションがあったり、離れた場所からでもバックアタックを打てたり。フェイクセットも、セッターが1本目を取った状況だけじゃなく、臨機応変なプレーがたくさん見られる。

　他の強豪国は、いわゆるスタンダードなバレーで堅く攻めてくるという感じですが、日本はそれだけじゃ勝てないというのは、たぶん本人たちが一番わかっていると思うので」

石川祐希らスパイカー陣から絶大な信頼を寄せられるセッター関田誠大（30歳）　©︎Volleyball World

　その攻撃の幅広さという意味で、柳田がキーマンに挙げるのはセッターの関田だ。

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