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「金メダルをかけた戦いがイメージできるか」石川祐希が語るパリ五輪の目標…壁となる相手は「ポーランドとアメリカ…他と比べて違うなと」
posted2024/07/29 17:01
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Asami Enomoto
発売中のNumber1101号[特別インタビュー]石川祐希「メダルでチームは完成する」より内容を一部抜粋してお届けします。
石川祐希が主将として臨む、2度目の五輪。メダル候補として多くの媒体で男子バレーボール日本代表が取り上げられる機会も増えた。
「こうして五輪特集で取り上げてもらえることも素直に嬉しいです。そもそもたくさんの競技があって、いろんな選手がいるじゃないですか。そこでこれだけ注目してもらえるのは、ありがたいですよね」
開会式の翌朝、現地時間7月27日の午前9時に開幕する男子バレー。その初戦に日本代表が登場する。ドイツ、アルゼンチン、アメリカ。予選ラウンドで対戦する国々はどこも強豪ばかりで、確実な勝利を計算できる相手などいない。
とはいえ近年の活躍や強さ、見せるバレーの面白さに加え、世界ランクは2位。期待値は否応なしに高まるばかりで、多くの記者が訪れた7月10日の囲み取材でも、矢継ぎ早に質問が飛び交った。石川は時折苦笑いを浮かべながらも、至って冷静だった。
「応援して下さる方からも『メダルのチャンスあるよね』と言われるんですけど、思っているよりも簡単なものではないし、勝てる保証もない。結果につなげるのは僕たちのバレーボールの実力、力を発揮するだけのことであって、まず自分たちのバレーボールをしなければいけない。地に足をつけていないと足元をすくわれてしまうし、あくまで僕たちは挑戦者。最近力をつけてきたチームであるだけなので、しっかりと現実を見て取り組んでいきたいです」
できる、と思わなければ口にしない。そんな石川だからこそ、昨秋の五輪予選前から「絶対に出場権を獲る」と明言し、パリ五輪に向けては「メダル獲得」と口にする姿を見るたび、驚かされた。だが同時に、五輪予選では2戦目でエジプトに敗れ、文字通り崖っぷちに追い込まれてから見事に出場権を獲得する姿も見てきた。
メダルをかけた戦いが具体的にイメージできるか
まさに“有言実行”を地で行く石川だが、パリ五輪では「メダルを獲る」と宣言しただけでなく、大会が近づくにつれ「金メダル」獲得へと変わった。うわべだけではないその自信は、どこから来るのか。
「イタリアのプレーオフが終わってから僕と(高橋)藍が日本代表に合流して、最初のミーティングで、まずネーションズリーグの目標をどこに置くか、という話をしました。そこでみんなが迷わず言ったのは『去年(3位)以上の成績を出そう』と。そうなれば、決勝へ行くしかないじゃないですか。なぜそう思うのかと言えば、単純に去年を上回りたいというだけでなく、ネーションズリーグで決勝を戦えば、その経験が加わることで、パリでも金か銀のメダルをかけた戦いがイメージできるようになるから。漠然とじゃなく、具体的にイメージできるか、できないか。それが共有できていることが、今のチームの強さにもつながっている。それは間違いなく言えますね」
五輪で金メダルを獲得する。そのためにはすべての出場国に勝つことが絶対条件ではあるが、ここに勝たなければならない、といういわば「越えなければならない壁」とも言うべき相手も存在する。具体的なイメージができてきたからこそ、パリ五輪で日本が「金メダル」を獲得すると考えた時、壁になる相手はどこか。石川は即答した。