トルシエ：後半に出た細谷の方がリアクションのプレーには合っている。藤尾も興味深いが、彼が力を発揮するのはゲームを支配したときだ。ボールを保持したときに彼の良さが生きる。だがカウンターアタックの場面では、トランジションをチームの哲学に据えるのであれば細谷の方が有効だ。また佐藤恵允も悪くなかったし、斉藤光毅もスピードを生かして突破を図った。

斉藤光毅がキレのある突破を見せるか否かが、日本の攻撃の生命線となる　©Mutsu Kawamori

フジタはもちろん、タカイも素晴らしかった

――斉藤は少し期待外れではありませんでしたか。

トルシエ：たしかにそうではあった。だが藤田譲瑠チマは、今日もまた素晴らしかった。本当に優れた選手だ。ただ守備ラインは少し動きが鈍かった。高井幸大は素晴らしかったがそれでも少し重かった。だから彼のところでボールを保持できなかった。

　彼がボールを保持すれば、全体を高く上げることができた。そうすればより有効な攻撃を繰り出せた。そう、今日の日本に足りなかったのは高い位置でのプレーだ。

――というと？

＜つづく＞