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水着グラビアも披露のアイドル路線から急転換…素顔は“オラオラ”、スターダムのベルトも獲得した岩田美香の渇望「総合格闘技かキックにも」
posted2024/07/14 11:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
スターダムの看板タイトルの一つ、ワンダー・オブ・スターダムの“白いベルト”は今、仙台にある。
6月22日のスターダム代々木大会。チャンピオン・安納サオリからの指名でベルトに挑み、勝利したのはセンダイガールズプロレスリング(仙女)の岩田美香だった。岩田は仙女のシングル王者。チャンピオン対決だけにリスクが高い一戦は、お互い譲らず引き分けになるのではという予想も多かったようだ。
「でも、私には“絶対に引き分けでは終わらせない”という覚悟がありました。それは安納も同じだったと思います」
そう振り返ったのは、2本のベルトを持参してインタビューに応じた岩田だ。過去のシングルマッチは2戦してどちらも時間切れ引き分け。白熱した好勝負だったが、岩田は悔しさばかりを感じたという。
「オラオラしてる私と、正反対な安納」
「手が合うとか闘っていて楽しいとか、そういう感覚は全然なかったですね。引き分けというのは勝てなかったということ。だから悔しい。オラオラしてる私と正反対で、安納はクールなタイプ。だから余計に腹が立つのかもしれないです。“スカしてんじゃねえ!”って(笑)。それに私はケガで長期欠場したり、勝てない時期もあったので。余計に勝ち負けへのこだわりが強いのかもしれない」
1996年、福岡で生まれた岩田。母親がプロレスファンで、家のテレビでは常にプロレスの試合が再生されていた。「だからプロレスが嫌いだったんです。私が見たい番組を見れないから」と岩田。
だが中学生の時、初めてプロレスを生観戦して人生が変わる。プロレスラーになりたいと本気で思った。それからは“西の聖地”と呼ばれた博多スターレーンに通い、たくさんの団体を見た。入門したのは“女子プロレス界の横綱”里村明衣子が設立した仙女。福岡から見れば東京よりも遠い土地にある団体だったが、ここしかないと思った。
「強さを追い求める姿勢だったり硬派なイメージだったり、私が目指すレスラー像が仙女にはありましたね。もう“ここじゃなきゃ嫌だ”くらいの気持ちでした」