濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“闘うバービー人形”の急成長…見た目は派手でも練習熱心、Chi Chiをベテラン選手も絶賛「いきなり髪の毛掴んできたからね(笑)」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2024/06/29 11:04
Evolutionだけでなく、様々な団体のリングに上がり成長を続けている女子プロレスラーのChi Chi
「物怖じしなくなった」Chi Chiの急成長
現在の女子プロレスにおけるトップの1人、SareeeはChi Chiと対戦して以降、自身の興行で起用し続けている。経験の幅が広がれば、成長も早い。精神面はさらに鍛えられた。
「思ってもみなかったような大先輩、レジェンドとも対戦させていただいて、物怖じはしなくなりましたね。遠慮がなくなりました」
単なる怖いもの知らずではなく、相手の強さを知った上で遠慮しない。やはり負けん気が強いのだろう。Chi Chiに言わせると、闘う中で必要だから自然にそうなった部分もあるそうだ。
「試合をしてみて分かったのは、自分の攻撃が効かないこともあるということなんです。100%の攻撃を出しても効かないから、150でいくしかない。遠慮してられないんです。150の攻撃を出していくうちに、それが自分の普通、100の攻撃になっていく。そしたらまた150%の攻撃を出す。その繰り返しですね」
さまざまな団体で多様な選手と闘う。本人が言うように恵まれた環境だ。ただ、それは与えられたものというだけではない。対戦したい相手をEvolutionにリクエストすることもあるし、練習環境も自分で考える。
Sareeeの練習にも参加「自分の武器になる」
昨年末から、Chi ChiはSareeeの練習に参加するようになった。月に1、2回ほどだが、これもまた大きな経験だ。
きっかけは、試合会場でSareeeに「いつか一緒に練習もできるといいね」と声をかけてもらったこと。
「凄く嬉しかったんですけど、これを社交辞令で終わらせちゃいけないなと。図々しくてもなんでもいいから練習させてもらいたかったので、すぐにスケジュールを聞きました」
Sareeeからは、エルボーの効果的なフォームを教わった。受身もEvolutionで身につけたものとは違うやり方を習ったそうだ。
「男子とは体格が違うので、こうやったほうがいいという女子ならではのやり方があるんです。男子は使わない技もありますし。だからSareeeさんの練習では“女子プロレス”を教わっている感じですね。それは師匠(諏訪魔、石川)との練習ではできないもの。男子のプロレスも女子プロレスも知っていることが自分の武器になると思います」