濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「結婚して初めての試合で…」RIZIN勝利後、堀口恭司はリングに妻を呼んだ…「フライ級か、バンタム級か?」UFC参戦希望、堀口の思いは
posted2024/06/12 11:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
RIZINは“ダブスタ”だから面白い。
この日本最大の格闘技イベントには2つの軸があり、そのことでファンの支持を得てきた。
一つ目の軸は“世界レベルの闘い”だ。6月9日の『RIZIN.47』(国立代々木競技場第一体育館)がそうだった。
アメリカ、ポーランド、韓国、キルギスにカザフスタンと世界各国から強豪、有望株が来日。CEOの榊原信行いわく「円安の中、無理してこれだけの外国勢を招聘しました。外国人同士の試合でも、ファンのみなさんがついてきてくれる熱が出てきた。プロモーターとして手応えを感じる興行でした」。
一方で、榊原は「(ファンは)ナンバーワン決定戦でしか熱狂できないわけではない」と語ってもいる。7月28日に開催される『超RIZIN.3』のことだ。この大会のメインイベントは朝倉未来vs.平本蓮。
タイトル絡みの試合ではなく、タイトルを狙う選手の対戦となる。しかし両者には以前から舌戦を展開してきた因縁があり、対戦発表会見では両者とも「負けたら引退」を宣言している。会場はRIZIN史上最大規模のさいたまスーパーアリーナ・スタジアムバージョン。PPV視聴数で那須川天心vs.武尊の『THE MATCH』超えを目指す。
『超RIZIN.3』では、新たにマニー・パッキャオvs.鈴木千裕の対戦も決まった。ボクシング界の英雄と現役RIZIN王者がボクシングに準ずるルールで闘う。“負けたほうはどうなるんだ”という想像力もかき立てる喧嘩腰のマッチアップ、あるいは突飛な顔合わせ。そこにもファンのニーズがあるのだ。
“世界レベル”の象徴が堀口だった
世界の強豪がしのぎを削る「ナンバーワン決定戦」と因縁の対決、競技の枠に当てはまらない闘い。2つの軸の両立は矛盾のようでいて、しかしどちらにも興味をそそられる。
そういう中で「ナンバーワン決定戦」という軸を担い続けてきたのが堀口恭司だ。修斗でプロデビューするとUFCでタイトルマッチを経験。2017年、世界最高峰の舞台を離脱して新たな主戦場をRIZINに定めた。RIZINは2015年に旗揚げしたばかりだったが、堀口の参戦によってグレードが上がったのは間違いない。“世界レベルのリング”としてのRIZIN、その象徴が堀口なのだ。
RIZINバンタム級王座を2度獲得、アメリカ第2の団体ベラトールでもバンタム級王者となり、フライ級に階級を戻すと同級のRIZIN初代王者となった。
もはや日本で残った“仕事”は一つだけと言っていい状態。それがセルジオ・ペティスへのリベンジだった。