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《夢の対談が実現!》栗山英樹×エディー・ジョーンズ「選手の選考基準とは?」栗山監督が聞いたエディーさんへの質問
posted2024/06/11 17:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
【初出:発売中のNumber1097号[名将豪華対談]栗山英樹×エディー・ジョーンズ「ラグビーから学んだこと、野球から学びたいこと」より】
ラグビーW杯に向け、侍ジャパンのようなチームを
栗山 エディーさん、私、ラグビー大好きなんですよ。1980年代に三洋電機で活躍していたトンガ出身のノフォムリ(・タウモエフォラウ)、ホポイ(・タイオネ)といった選手たちと知り合いだったので、よく試合を見に行ったんです。
エディー・ジョーンズ(以下EJ) そんなに昔からですか。それは驚きです。
栗山 2019年のW杯も、スタジアムで観戦しました。実は、WBCではラグビー日本代表のようなチームをつくりたいとイメージしていたんです。エディーさんがつくった'15年のチーム、そして'19年日本大会の日本代表のように、生まれた国は関係なく、みんなが日本のために頑張るチームをつくりたくて。
EJ とてもうれしい言葉です。こうして栗山監督とお会いする前にWBCのドキュメンタリーを見ましたが、「次のW杯に向けて、侍ジャパンのようなチームをつくらなければいけない」と思っていたところでしたから。
チームづくりで重要視する「魂」「ミッション」
――今日はどうやら、司会の必要性はないようですね(笑)。
EJ まあまあ、そうおっしゃらずに。
――では最初に、チームづくりにおいて重視していることを教えてください。
栗山 「魂」ですかね。そのことはいつも考えています。WBCの選手選考にあたっても、魂を持って戦ってくれるかどうか、それは選考基準のひとつになりました。
――エディーさんはいかがですか?
EJ ミッションを提示することでしょうか。日本人は、自分たちが「正しい使命を担っている」と感じられたら懸命に戦えるメンタリティを持っています。ひょっとしたらそれは、栗山監督の魂と近い概念かもしれません。
栗山 誇りを持てるチームをつくるということですよね。侍ジャパンの場合は、次の世代が「野球したいな」と思ってくれるように、メンバーたちが野球の「伝道師」になってくれたらいいと考えてました。
EJ 構成員が「自分たちは特別な何かができる」と信じることが重要です。栗山監督がおっしゃる伝道師は、まさにミッションそのものです。
栗山 最終的にWBCでは選手たちがそれを感じてくれたおかげでチーム力が成長し、(大谷)翔平なんかは少年に戻ったかのように野球を楽しんでましたからね。
EJ それこそ、アスリートが最も力を発揮できる状態ですよ。
栗山 エディーさんは選手が最大限の力を発揮するために、選手とどういった発想でコミュニケーションを取るんですか?