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「若くして急逝した同期も」若貴、曙、魁皇まで…大相撲《花の六三組》元力士が振り返る“あの頃の角界”「貴花田は大スターだったけど…」 

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欠端大林

欠端大林Hiroki Kakehata

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photograph by(L)JIJI PRESS、(R)Hiroki Kakehata

posted2024/05/12 17:01

「若くして急逝した同期も」若貴、曙、魁皇まで…大相撲《花の六三組》元力士が振り返る“あの頃の角界”「貴花田は大スターだったけど…」<Number Web> photograph by (L)JIJI PRESS、(R)Hiroki Kakehata

1990年にそろって幕内に再入幕した若貴兄弟(左)。2人と初土俵同期である元若隆盛の古市氏(右)が語る「花の六三組」の悲喜こもごもとは

 古市氏は押尾川部屋時代、「白いウルフ」と呼ばれた元関脇・益荒雄(後の阿武松親方)の付け人だった。古市氏はそんな兄弟子が、上位力士を倒していく姿に憧れていたという。

「親方時代の貴乃花を阿武松親方(益荒雄)は最後まで支え続けた。“変人どうしでウマが合うんだろう”と揶揄する向きもありましたが、その信頼関係は、2人の信念に貫かれていたものでした。将来の理事長候補だった貴乃花が協会を退職したとき、『六三組』の歴史は事実上、終わったような気がします」

貴乃花親方(当時)も「仲間がいるのは嬉しいですね」

 いまから11年前の2013年、あるドキュメンタリー番組が放送された。『土俵探し 今なお 大相撲 昭和63年春組』(NHK)と題されたその番組には、在りし日の曙や相撲協会の現役理事だった貴乃花らが登場(※若乃花は登場せず)。「六三会」メンバーが経営していた名古屋のちゃんこ店に総勢19人が集まり、盛大な同窓会が開かれた。

 貴乃花親方(当時)はこんな「近況報告」をしている。

<え~貴花田です。相撲部屋やってます>

 すると、名もなきメンバーから「え? マジですか?」と軽妙な突っ込みが入り、照れくさそうに満面の笑みを浮かべる貴乃花。25年前、同じ目標を夢見て横一線のスタートラインに立った青春群像の主人公は、永遠に「貴花田」なのである。

 貴乃花は番組でこう語っていた。

<仲間がいるのは嬉しいですね。苦しいときを過ごしてきましたので、話さなくても分かってもらえますから……>

 相撲界で9年間の現役生活を送った古市氏が語る。

「1本のレールがやがて分岐を迎えるように、人生も結局は、自分だけの道を歩くことになるのだと思います。たとえ相撲界を離れても、メンバーそれぞれの記憶のなかで“六三組”は生き続けるのでしょう」

 大相撲“史上最強”と呼ばれた「花の六三組」の物語は、まだ終わっていない。

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