2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
「さや香さん優勝キツいやろな」吉本の後輩芸人・カベポスターが明かす“見せ算”の真相「M-1直前、新山さんに相談されて…“スベると思います”」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/03/31 11:09
2年連続M-1ファイナリストになったカベポスター。永見大吾(写真左)と浜田順平
永見 僕はそこまでエゴが強くないので、勝てるネタと、やりたいネタは、そんなにぶつかり合ったりすることはないですね。基本的に自分がおもしろいと思ったネタをできてると思います。
――カベポスターのネタは毎度、パターン化しないのがすごいですよね。いつもぜんぜん違う切り口で。
永見 武器があんまりないんでね。いろいろなネタをつくるしかないんです。
――今大会のネタも、めちゃめちゃハマる展開もありえたと思うのですが。
浜田 優勝は運もありますから。M-1を卒業すると芸人ってめっちゃ生き生きし始めるんですよ。前よりもおもしろくなる。そういう人たちを見ていて、ここ1、2年で考え方が変わりましたね。めっちゃ優勝したいし、負けるとほんまきついんですけど、そこに縛られ過ぎるのもよくないな、と。それよりも自分たちが楽しいなって思えるネタを作り続けて、M-1の時期がきたら、いちばんいいネタをギュッとM-1用にするぐらいでいいと思うんです。
「さや香さん、いちばん化け物でしたね」
――前回は8位で、今回は6位と少し順位が上がりました。頂上の景色みたいなものはちらりとでも見えましたか。
浜田 優勝するには、もう1パンチないとダメなんでしょうね。それを見つけにいくのか、自然と身につくのを待った方がいいのか。そこはわかんないですけど。今は優勝するよりも、1回でも多く決勝に残れるような漫才を目指す方がいいような気がするんですよね。優勝よりも、そっちの方が価値あるような気もしていて。
永見 最終決戦に残るには、何かで圧倒しないとダメなんだろうなという気はしました。それがネタなのか、人なのか、その両方なのか。まあ、両方なんでしょうけど。今大会は令和ロマンが勝ちましたけど、最終決戦に残った3組の中で誰がいちばん圧倒的だったかと言えば、さや香さんだったと思いますよ。言葉を変えるなら、いちばん化け物でしたね。
<前編、中編から続く>
(写真=山元茂樹)