2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
M-1王者は天才か努力家か…「決勝直前にM-1全部見返した」史上最速優勝・令和ロマンが語る“圧倒的努力”「だから異例のネタ選びをした」
posted2024/04/07 11:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Yuki Suenaga
「決勝前に2015年からのM-1を全部、見返したんです」これまでインタビューしてきたどの芸人ともひと味違う話をしてくれた。【全3回の前編/中編、後編へ】
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ネタ選びから“異例”だった
――おそらく準々決勝、準決勝でかけたネタを、決勝でまったくやらずに優勝したのはM-1史上、令和ロマンが初めてだと思うんです。どの組もまずは決勝のステージに上がるのが第一目標なので、そこに一番のネタをぶつけてくる。そして通過したら、当然、決勝でもそのネタを1本目か2本目のどちらかでやるものですよね。
高比良くるま そのネタで決勝に上げてもらったというのがあるから、やらないとダメだと思っているというのもあるんでしょうね。僕らも好きなネタだったのでやりたかったんですけど、やれるような状況ではなかった、ということです。
――客席の雰囲気を見て?
くるま 準々決勝、準決勝と、僕らは同じネタをしたのですが、あのネタは、お笑い好きな人なら笑える。でも、決勝のお客さんは、ちょっと雰囲気が違いましたね。もっと軽いネタ、ポップなネタの方がいいんじゃないかな、って。あと、ネタバレしているなっていうのも感じていたんです。
松井ケムリ 決勝のお客さんは、予選をけっこう観ていた人が多かったんじゃないかな。
――ネタは何本も用意していたんですよね。
くるま 一応、全部で4本ですね。実際に決勝でやった2本のネタと、準々・準決ネタと、一昨年、準決勝でやったネタです。準々・準決ネタは、予選でイチウケだったわけでもないので、この1本に頼るということはできないな、と。一度、ゼロベースに立ち返って、出順に応じてネタを考えようと思ったんです。
「2015年からのM-1を全部、見返した」
――結果的にトップバッターとなりました。トップの場合は『少女漫画』のネタだと決めていたのですか。漫画などでよくある登校中に少女と転校生がぶつかってしまうシーンの矛盾を突いたネタでした。