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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平には“国籍”を感じない」韓国ベテラン記者が率直に明かす「大谷翔平と日本野球への評価」「韓国と日本、なぜ差がついた?」
text by
崔敏圭Choi MinGyu
photograph byNanae Suzuki
posted2024/03/24 11:05
韓国球界で長年取材を続けてきたベテラン記者も絶賛する大谷の存在。日本球界と韓国球界の比較についても言及が…
代表チームに所属するトップレベルの投手ではさらに差が広がった。09年、WBCで日本代表チームのフォーシーム平均球速は時速147.5km、韓国は時速146.3kmだった。2023年には日本が時速153.7kmで韓国(時速145.7km)よりなんと時速8kmも速かった。2000年代の韓日戦では両国の選手が似たような「速度領域」でプレーしてきたが、今は違う。
「技術」から転換した日本の野球
韓国には日本のスポーツについて次のようなイメージがある。「力」と「技術」の二分法で考えれば、日本は「力」よりは「技術」を自分たちの強みにしているという見方だ。1998~99年に中日ドラゴンズでプレーした李尚勲(サムソン・リー)は「当時、日本の投手は韓国よりウエイトトレーニングを多くしなかった」と回想していたことがそれを裏付けている。
しかし、現在では三星ライオンズの李晋暎コーチ(06年、09年WBC出場)が今年、沖縄でのキャンプを終えた後、「私がWBC代表選手としてプレーした時より日本選手の体がはるかに強くなった」と話したように「力」の面での強化が進んでいるのだ。洪性賛元筑波大学体育系助教授は「最近、野球だけでなく日本のスポーツ全体が強くなった。広い視野でスポーツ科学をより積極的に受け入れ、国際交流により開放的になった」と日本の変化を指摘する。そして、20日の開幕戦に先発したパドレスのダルビッシュ有は、日本野球にウエイトトレーニングブームを巻き起こしたという点で日本球界の発展に寄与した投手のひとりと言えよう。
山本由伸の言葉にあった日本野球発展のキーワード
ダルビッシュが先発した20日、高尺スカイドームを訪れた関係者からドジャース投手の山本由伸の話を聞くことができた。彼は「日本の投手がなぜ強くなったのか」という質問に「オリックスの一軍投手ならロールモデルとするメジャーの投手がいる。自分の身体条件と投球フォームで球速向上を実現できる個人トレーナーを探していく」と答えた。その言葉に日本野球に根付く「国際交流」と「スポーツ科学」というキーワードを読みとることができる。