竜王戦では挑戦者が1勝も挙げられず藤井竜王の防衛となった中で、伊藤七段の後手となった第1局は“戦略的な”持将棋（スポーツにおける引き分け）に。勝負にこだわる姿勢を見せました。

　ただ藤井棋王も手をこまねいていたわけではなく、石川県金沢市で行われた第2局（使用された駒は珠洲市で被災しながらも見つかった駒で、歩兵の字体がとても特徴的でした）で1勝目を挙げました。

棋王戦第2局で使用された駒　©日本将棋連盟

　3月3日に控えた第3局では、藤井八冠が突き放すのか、それとも……。

3）徹子の部屋デビューと“サッカー好き20歳差カップル”

　藤井八冠については、1月のNHK杯初解説に続き……テレビ地上波放送でのトーク姿を目にすることができました。そう、「徹子の部屋」への出演です。黒柳徹子さんに将棋を始めた頃の話、そして将棋の駒の指し方を指南する姿が、孫のようでもう微笑ましい以外の何物でもなかったです。将棋ファン以外の世間にもリーチしてるんだな、と感じたのは編集担当さんの言葉。

「親戚の叔母さん、将棋はニュースくらいでしか見ないんですが、たまたま徹子の部屋を見ていたそうで。〈藤井くんって、あんなトークお上手になったんだね～私、将棋は全然わからないけど、成長を感じられて嬉しいな～〉といった感じのLINEが来ました（笑）」

©Junsei Chida

　そして……大谷翔平選手結婚に世間がビックリした中で「将棋界にも2月、ビックリな寿ニュースありましたよね」（編集担当さん談）。そのカップルは以前、イラストで“女流棋士の日常”を描かせてもらった渡部愛女流三段と、棋士の野月浩貴八段です。年の差20歳差！

　そりゃ当然、僕ら夫婦もビックリでした。で、それぞれを取材したことがあるという編集担当さんに“もしかしたら知ってた？”と思ってLINEすると「えええええええええええ！！ 報道確認します！！！」との返信が。このリアクションの時点で“あ、これは本当に知らないんだな”と知りました（笑）。

　おふたりはNumberWebの記事にも掲載されているように――女流棋士とコーチとしての関係を長年続けて、渡部女流三段が飛躍したというストーリーが。さらに、ともに故郷であるJリーグの北海道コンサドーレ札幌サポーターでもあります。サッカーと将棋がつないだ縁……となると、両方を愛するぼくら観る将夫婦としても胸アツ過ぎます。

J1コンサドーレのサポーターなのでぜひ…

「サッカー観戦をされているなどは知っていましたが、棋士でも〈いや、これは驚きの一手です〉という方もいました」とは色々とリサーチした（らしい）編集担当さんの言葉。おふたりの結婚はコンサドーレのSNSでも祝福されるほどなので、ぜひどこかの試合でキックインセレモニーをやってほしいなと思いつつ（笑）、千田・中村ご夫妻や福間女流五冠と同じく、おふたりの幸せと棋力向上を願っています。

　現在行われている「ABEMA地域対抗戦」では久保利明九段が4連勝したかと思いきや、広瀬九段が5連勝でリベンジ。そして引退が決まった71歳の青野照市九段が通算800勝を達成するなど、シビアな勝負の世界でありながらも、心が温まる出来事も多い将棋界。季節が春に移ろう中でポジティブなニュースが数多く生まれ、僕ら観る将夫婦の心をとらえて離しません！＜構成／茂野聡士＞