酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
人的補償で移籍・甲斐野央が明るい表情で投げ込み!“テレビに映らない”西武キャンプ風景…ブルペンでのデータ改革をアナリストに直撃
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2024/02/17 11:02
人的補償で西武に移籍した甲斐野央。熱のこもった投球練習だった
昨年のドラフト7位、一軍キャンプに抜擢された糸川亮太だ。ENEOSから入った25歳は、当然、即戦力期待だ。新人であっても気後れしている暇はない。早くも競争に割り込んでいるのだ。
新人では56番の宮澤太成もブルペン入り。北海道大学→徳島インディゴソックスでドラフト5位という異色の経歴のピッチャーも一線級に伍して投げている。
一番右のレーンでは背番号00の外国人投手が投げている。伸び上がるような躍動的なフォーム。今季、マーリンズ傘下AAAから入団したジェフリー・ヤンだ。メジャー経験はないが、190cmの長身から100マイル近い速球を投げ込むとの触れ込みだが、速球は確かに勢いがある。それ以上に派手なフォームに目が行く。
独立リーグ上がりの捕手・古市の振る舞い
……と、彼の球を受けている捕手に目がいった。背番号65、古市尊である。筆者は徳島インディゴソックス時代にインタビューをした。香川県の高松南高を出て1年目。抜群の鉄砲肩で「高校時代に(NPB球団の)調査書を1枚貰いました」と語っていたが、とつとつとした口調で、いかにも高校出たて、との印象だった。
徳島ではレギュラーという感じではなかったのだが、スカウトは強肩を評価して育成ドラフトで古市を獲得。1年目はファーム暮らしだったが2年目の昨年4月に支配下登録されると、古賀悠斗に次ぐ存在として一軍でも鉄砲肩を見せるようになった。
この日の古市は新外国人投手ヤンに対しても、球種やコースの指示をしていた。通訳を交えて話し合いをしたり、野田浩輔一軍バッテリーコーチとも話し込んだりしている。もう立派な一軍捕手のふるまいだ。
ヤンがマウンドを降りると、古市は引き続きドラフト同期の左腕、背番号19の佐藤隼輔の球を受けて「ナイスピッチ!」などと声をかけていた。今にして思うが、スカウトは、彼にプロで通用する捕手の資質があることを見抜いていたのだろう。
ブルペンには正捕手の古賀のほかに、今季、6年ぶりに復帰した炭谷銀仁朗もミットの音を響かせている。競争はむしろ昨年よりも厳しくなるだろうが、どこまでやるか、見届けたい。
隅田、平井らがチェックしていた計測器とは
リズミカルに腕を振っている背番号16の左腕がいた。