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《セパンテスト詳報》驚速ドゥカティがサーキットレコードを1秒も短縮、移籍で注目のマルケスは最多ラップで虎視眈々
posted2024/02/10 11:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
2024年シーズンがマレーシア・セパンで幕を開けた。2月6日から3日間のテストを終えて、最終リザルトを見れば昨年の順位と大きな変化はなく、この数年圧倒的強さを誇っているドゥカティが上位4位までを独占。その4台ともに、セパン・インターナショナル・サーキットで初めて1分56秒台に入るという驚速ぶりだった。
トップタイムをマークしたのは、ドゥカティワークスで2年連続チャンピオンを獲得したフランチェスコ・バニャイアで、自身のもつオールタイムレコード(1分57秒491)を1秒近く短縮するスーパーラップを刻んだ。それを追いかけるように、昨年、バニャイアと熾烈なタイトル争いを繰り広げたホルヘ・マルティン、そして、バニャイアのチームメートで昨年の怪我から完全復帰をアピールしたエネア・バスティアニーニが続く。4番手では、グレッシーニ・レーシングで2年目を迎えるアレックス・マルケスが1分57秒の壁を破った。
タイトルを獲得した過去2年、圧倒的な強さを誇ってきたドゥカティは、次々にニューアイテムを投入して大きな注目を集めてきた。まさに現在のMotoGPクラスの空力戦争の火付け役であり、ライバル陣営もドゥカティの快進撃に刺激を受けて追随してきた。今年は「おっと、これは何?」というニューパーツこそ登場しなかったが、1分56秒台を次々マークしたドゥカティの実力は、ライバル陣営にとって驚き以外の何ものでもなかった。
緊迫のタイムアタック合戦
今回のテストは午前10時から午後6時までの8時間で行われた。熱帯の国マレーシアでは、午後になると30℃を超える猛暑になるため、タイムを出しやすいのは午前10時から11時前後まで。新品タイヤ(スリック)の割り当てが3日間で6セットに決められていることもあり、この時間帯に新品を装着してアタックするというのが常識となっている。
セッション開始から1時間ほど続く緊張のアタック合戦。これが1日の最大の見どころとなり、そのあとで通常のテストに入るというのが、ブリヂストン(2009年~15年)、ミシュランと続いてきたタイヤの1社供給時代の常識となっている。
今回のテストでは、初日、2日目と24年型デスモセディチGPのセットアップに集中してきたバニャイアが3日目に初のアタックに挑み、MotoGPクラスでは初めてセパンで1分56秒台に突入するライダーとなった。「まだテストだから」と謙遜しつつもバニャイアは次のように語った。