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「いやいやいや!」謙虚な南野拓実、久保建英は「行くしかないなと」冨安健洋に感謝…取材エリアで見た“素顔の日本代表”と「ベースの復活」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byPlaymaker/MB Media/Getty Images
posted2024/01/26 11:40
インドネシア戦で3-1で勝利した日本代表。チームの「ベース」が戻った状態で決勝トーナメントへと進む
まず、前線からの激しい守備があった。
例えば、右ウイングの堂安。強烈なプレスをかけ続けた。一度プレスをはがされても、再びプレス。カタールW杯で「90分あたりのプレッシング回数」で32カ国の全選手の中で2位を記録した、“無限プレス”だ。前半アディショナルタイムのように自らボールを奪い切った場面もあれば、23分のように堂安のプレスに連動した毎熊晟矢がボールを奪ったシーンもあった。
そして、最終ラインの主導権を握るためのコントロール。
冨安の掛け声に合わせて、ラインを上げる動きを繰り返した。
久保建英は背中から聞こえてきた声を、こう振り返っている。
「何回も後ろから『(プレスをかけに)行け』って(冨安の)声を聞いたので、『行くしかないな』って思っていました。たぶん、彼の守り方的には『行けるときはどんどん行く』と。前がしっかり同数になるような形で行くというのが大事になってくるので」
誰もが守備に汗を流し、仲間のために走り続ける
冨安は最終ラインを上げるように求め続けた。
良い守備、良い攻撃。そのいずれを実行するためにも、全体をコンパクトに保たないといけない。だから守備陣は必要に応じてディフェンスラインを上げないといけないし、前線は相手のボール保持者にプレスをかけないといけない。
どちらかが欠けてしまえば、ピンチを招く。相手のボール保持者に質の良いロングボールを蹴られて最終ラインの裏をつかれるか、最終ラインの前のバイタルエリアを相手に悠々と使われるか……。いずれのケースでも失点の可能性は一気に高まる。
誰もが守備に汗を流し、仲間のために走り続ける。その意識が過去2試合と決定的に違っていた。
その象徴が51分、2点目のシーンに詰まっていた。
相手が蹴ったボールを遠藤航が競りに行く。ボールが冨安の元にこぼれる。冨安は、トラップせず右前方の堂安へパスを出す。前を向きながらトラップした堂安は少し運び、左前方の中村へボールを送る。堂安はそこから加速し、中村の左外をオーバーラップ。中村からのリターンを受けると、ダイレクトで中へ。久保がニアサイドで相手のマークを引き連れ、ファーサイドに入ってきた上田がゴールネットを揺らした。
冨安が称えた「絶対にサボらない」堂安の守備
「良いプレーをするためなら(いくらでも)頑張るので。走るだけなら簡単です!」
笑顔で振り返った堂安は、ゴールにつながるまでのプロセスの意義を説いた。