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今永昇太はDeNAに何を残したのか? 山崎康晃、三嶋一輝、戸柱恭孝の証言で振り返る「“投げる哲学者”がいた8年間」…牧秀悟は「想いを継承したい」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byUSA TODAY Sports/Reuter/AFLO
posted2024/01/15 11:01
シカゴ・カブスの入団会見を行った今永。会見後にはファンとのイベントにも参加するなど大忙しの一日となった
「足の速い選手、守備の上手い選手、ホームランバッターとか、素晴らしい選手が揃っていたから、状況によっての心境を知りたかったんだよね。知ることで自分自身のプラスにもなるし、あとチームで悩んでいる若手がいたら『あの選手はこう言っていたよ』って教えることができる。貴重な経験をしたわけだから、何とかベイスターズに伝えたいなって思ってね」
結局勝つことが、皆の矢印を同じにさせる
牧は感心したように頷くと「素晴らしいですね」と言った。そして「世界一になった経験をどのようにしてチームに伝えていくべきなんでしょうか?」と尋ねた。今永は少し考えると口を開いた。
「結局勝つことが、皆の矢印を同じにさせるんだと思う。これだけたくさんの選手がいたら、一緒の方向を向かない瞬間っていうのは絶対にあるはずなんだよ。そういう時、俺とか牧がしっかりと試合で結果を出して、同じ方向へ皆の矢印を向けさせることが大事だと思う。だから言葉でなにかを伝えようと考えるのではなく、まずは姿勢を見せていくことが大事なのかなって」
その言葉を聞いた牧は「結果を出すこと。やっぱり勝つことが、全員が一番まとまる要因だと思いますし、野手としてどうすれば勝てるのか、準備も含め行動で見せていきたいです」と、誓うように今永に答えた。
“俺がいなきゃダメなんだ”というチームに
絶対的なエースに対する信頼感。牧は「今永さんがチームにいる時といない時では野手も雰囲気が変わるんです。自分ではそういうのって感じていますか?」と、その存在感の大きさについて素直に質問した。今永は「自分では自覚はないけど……」と語り、つづけた。
「でも、そういった替えの利かない存在にならなければいけないとは思う。それは牧もそうだし、他の選手もそう。全選手がそう思えるようになったら絶対にこのチームは強くなるはず。今はまだその過程にあると思うから、一人でも多くの選手が『俺がいなきゃダメなんだ』って思うことのできるチームになっていきたいよね」