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井上尚弥のワンツーは「硬い塊をぶつけられる感覚」“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之が見た「(ガードの上からでも…)あれは効いている」

posted2023/12/31 11:06

 
井上尚弥のワンツーは「硬い塊をぶつけられる感覚」“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之が見た「(ガードの上からでも…)あれは効いている」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

タパレスを10回KOで撃破した井上尚弥の凄さを、黒田雅之が解説

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森合正範

森合正範Masanori Moriai

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Hiroaki Yamaguchi

「怪物と最も拳を交えた男」の目に、スーパーバンタム級2戦目のモンスターはどう映ったのか。12月26日、井上尚弥がマーロン・タパレスを圧倒し、10回KO勝利を収めた。井上のプロテストの相手役など長らくスパーリングで拳を交えてきたのが、元日本2階級制覇王者の黒田雅之だ。タパレス戦のキーになった“3つのポイント”を中心に解説してもらった。《NumberWebインタビュー全2回/前編から続く

◆◆◆

井上が見せた「棒立ち」姿勢の意図

――井上選手はたとえば2回1分過ぎから、一般的なボクサーの構えではない、左膝を伸ばし、腰を落とさない姿勢でタパレスと対峙していました。突っ立つ意図はなんだったのでしょう。

「あえて高く構えることによって、タパレスの頭を前に出させたかったのかなと思うんです。タパレスの上体を起こそうとしている、タパレスの構えを後ろから元に戻したかったのかなと思いました」

――突っ立つ姿は相手から隙があるように見えるし、前へ出させる効果があるんですね。

「はい、僕はそう思っています。相手が攻めて来たとしても、意識さえちゃんとしていれば反応できる。ましてや井上選手ですから。あの突っ立ちはスパーリングでたまにやっていました。フルトン戦でも少し見られましたけど。もしかしたら、本人からすれば力が抜けていい感じで反応できるのかもしれないですね」

――以前からスパーリングではやっていたんですね。

「はい、やっていることもありました。もちろん、いつもは左膝がもっとクッと曲がっています。僕の勝手な解釈かもしれないけど、タパレスの頭が低くて、遠い。何回か井上選手のストレート系のパンチが珍しく上滑りしているシーンがあったんです。だから、もっと前に出させるためにやっていたのではと思うんです」

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