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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥は「『考える・動く』両方を持っている」“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之がタパレス戦で衝撃を受けた「パンチ以外の凄まじさ」
posted2023/12/31 11:05
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
「怪物と最も拳を交えた男」の目に、スーパーバンタム級2戦目のモンスターはどう映ったのか。12月26日、井上尚弥がマーロン・タパレスを圧倒し、10回KO勝利を収めた。井上のプロテストの相手役など長らくスパーリングで拳を交えてきたのが、元日本2階級制覇王者の黒田雅之だ。タパレス戦のキーになった“3つのポイント”を中心に解説してもらった。《NumberWebインタビュー全2回/後編に続く》
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「フィニッシュと同じくらい衝撃でした」
――試合を見た率直な感想はどうですか。
「まずタパレスがすごく仕上げてきた。やるべきことを全部出した試合だと思います。井上選手から一発もらったらアウトなんで、重心を低くして、頭を後ろにして、より遠くに自分の顔を置いていた。ブロッキングもよかったし、ボディーワークも柔らかい。プラス、打つべきところで打つ。勝つための最善策をとった。『だけど……』となるんです」
――だけど、ポイントは取れていない、と。
「僕はほぼ井上選手のポイントです。1、2ラウンド、ジャッジによってはどうだろうな、というのはありましたけど。タパレスはあれだけの対策、準備をしてきて、リングで実行しても勝ちに繋げさせてもらえない。それこそ『井上選手が凄い』のひと言で終わってしまいますが」
――4回にダウンを奪ったシーンはどう見ましたか。
「ダウンうんぬんの前に、その直前に左フックを効かせて、すぐに外(左側)にサイドステップしているんです。そこがもう、どれだけこの動きを練習してきたんだろう……って思ってしまいました。あれは相当練習していないとできない。自分の中ではフィニッシュのワンツーと同じくらい衝撃でした」