濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
身長181センチの新人女子レスラー「デカいだけじゃない選手になりたい」 日本現役最長身・HANAKOの“まさに大器”な可能性
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/12/16 11:00
181センチの日本現役最高身長女子レスラー・HANAKO
「親は内定もらった時より喜んでました(笑)」
大学4年生、就職活動に励み、内定をもらった企業もあった。食べたり料理をするのが以前から好きで、食品業界志望だった。けれどどんどんプロレスが好きになっていく。「今しかできない」と学生プロレスラーになったが、学生時代でプロレスを終わりにしたくないと思うようになっていた。
「一度きりの人生だから、挑戦できることはやっておきたい」
そんな気持ちで本物のプロレスラーになることを決意する。入門したのは、業界最大手のスターダム。
「親は内定もらった時より喜んでました(笑)」
プロレスはプロレスでも、学生プロレスと“プロのプロレス”には大きな違いがあった。
「基礎をしっかりやるというところから違いました。学生プロレスでもマット運動だったり受身だったり基礎を大事にしてたんですけど、プロは“基礎を大事にする”のレベルが違うんです。先輩からも“基礎がないと後々ダメになるよ”と言われてます」
シンプルだが迫力がある。まさに“大器”
デビュー戦ではレディ・Cと長身タッグを組み、舞華&ひめかと対戦。こちらも大型選手のチームだ。敗れたHANAKOだが、引退が決まっていたひめかから得意技のJPコースターを譲り受けた。期待の表れだ。
「デカいというのは本当に素晴らしいこと。その素晴らしさに誇りをもって、これからスターダムを盛り上げて」
ひめかからはそんなエールをもらった。さらに試合後のリングではレディ・Cと若手主体興行New Bloodのタッグ王座に挑戦表明。デビュー直後のタイトルマッチ決定は異例だ。
学プロ時代から得意にしていたブーツ(フロントハイキック)に加えアルゼンチン・バックブリーカー、ブレーンバスターなど体格を活かした攻撃が目立つ。走り込んで勢いよく放つショルダータックルも、シンプルだが迫力がある。まさに“大器”といった雰囲気だ。
タイトルマッチはギブアップ負けだったが…
夏のシングルリーグ戦への出場は叶わなかったものの、秋に開催されたタッグリーグには飯田沙耶と組んでエントリー。また11月にはNew Blood大阪大会で新人王座フューチャー・オブ・スターダムに挑戦した。
大阪でのNew Blood初開催にあたり、チャンピオンの吏南が関西出身の挑戦者を求めたのだ。若手の中で関西出身は天咲光由とHANAKOの2人(ともに京都生まれ)。いち早く名乗りをあげたのがHANAKOだった。リング上での挑戦アピールは勢いがありすぎて、今ひとつ観客に届かなかった。
「リングを降りたら“マイクはゆっくり、区切りながらしゃべらないと聞き取りにくいよ”って先輩に教わりました」
それもまた経験だ。タイトルマッチではギブアップ負け。ただメインイベントでシングルのタイトルマッチができたことはキャリアの中で大きな出来事だったはずだ。