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「ワクチン支援は自分への励み。僕が投げ続けて結果を残さなければいけない理由のひとつ」和田毅がプロ3年目から続けている社会貢献
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/15 07:00
島根県出身、現在42歳。 “松坂世代”最後の現役NPB投手として若手の手本ともなっている
――ワクチン支援を通じて、社会問題に触れる機会も増えたと思います。寄付活動を通して何か変化はあったのでしょうか。
「僕も子どもを持つ父親なので、世界のどこかで、ワクチンが受けられないために、毎日、幼い子どもたちの未来が奪われているのは本当に悲劇だと感じますし、同時に、日本がいかに恵まれているのかもあらためて痛感します。ワクチンがない地域で子どもを育てる親の気持ちを想像するだけで、本当に恐怖でしかない。こうした現状を知ることで、ワクチンの支援以外でも、虐待やいじめ、自殺など、子どもに関わる問題にはより目が向くようになりました」
子どもたちと一緒に楽しむ支援
――2014年から2シーズン、シカゴ・カブスでプレーされています。メジャーに行かれた際に日本とアメリカの寄付活動に対する考え方の違いは感じましたか。
「日本では寄付活動を特別視するというか、構える部分があるように感じます。どうしても重い空気になりがちなところがあったり。一方、アメリカでは普通のことだし、当たり前。カブス時代に何度か僕も参加しましたが、病気やケガの子どもたちを招待して会話したり、ゲームやダンスをして一緒に楽しむ。そうすると、子どもたちが自然と笑顔になっていく。そこにファンの人もいたりして、堅苦しい雰囲気はまったくありません。メインは“楽しむ”ということ。僕自身もアメリカでの経験から、そういう輪を広げていきたいなと考えていて、チャリティー活動を支援するNPO法人BLF(ベースボール・レジェンド・ファウンデーション)でのイベントを通して、そういった輪を広げていきたいと考えているんです」
――より多くの方に知ってもらいたいという思いはありますか。
「プロ野球選手などのアスリートのように影響力のある方が活動を行うことで、より多くの方の目に触れる回数は間違いなく増えると思うんです。そういった活動が気になっていたけれど方法が分からなかった人がアスリートを通して知ったり、賛同することもある。僕自身はこうした活動を長年継続することができて本当に良かったと感じていますし、多くの方々に知っていただいたり、賛同していただくことも嬉しいです。ただ、寄付やチャリティーは強制するものではなく、自発的に行うものだとも考えていて。だからこそ、僕らの発信を通して何かを感じたり、共感したり、興味を持っていただけたら嬉しいですね」
――今後の活動についてはどのように考えていますか。
「ワクチン支援を始め、様々な社会貢献活動を行っていますが、現時点ではこれが精一杯。今、携っていることは適当にはしたくないので。今は1本でも多くワクチンを支援したい、その気持ちだけ。どういう形態になるかは未定ですが、野球を辞めた後も、また新しいルールを作って、継続的に活動できたらと考えています」
和田 毅Tsuyoshi Wada
1981年2月21日、愛知県生まれ。2003年、早稲田大学から福岡ダイエーホークス(現ソフトバンクホークス)へ入団。'06年の第1回WBCに出場。'10年に最多勝とMVPを獲得。'12年に渡米し、カブスなどでプレー。'16年にホークス復帰。1980年度生まれの松坂世代のうち、NPBでは唯一現役を続けている。
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