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“ご意見番”武蔵丸が疑問視する、相撲界のトレンド「貴景勝はやっぱり稽古が足りない」「専属トレーナーの話ばかり聞いてちゃダメだよ」 

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武蔵川光偉

武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide

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posted2023/11/30 11:01

“ご意見番”武蔵丸が疑問視する、相撲界のトレンド「貴景勝はやっぱり稽古が足りない」「専属トレーナーの話ばかり聞いてちゃダメだよ」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲11月場所千秋楽、大関霧島が大関貴景勝(右)を攻める。霧島が突き落としで勝ち、13勝2敗で4場所ぶり2度目の優勝

 現役時代、アメフト――NFLの研究に協力したことがあるんだけれど、四股、すり足、てっぽうって、相撲という競技に適した体作りに、驚くほどにピッタリなんだって。科学的にも証明されて、昔のお相撲さんたち――先人たちの知恵にみんなでびっくりしてたんだ。一点に立ったままダンベル上げ下げしたって、たかが知れてるんだよね。硬い筋肉をつけ過ぎちゃダメで、体が動かなくなる。ボディビルダーみたいに、筋肉見せてポーズつけるのが仕事じゃないんだからな。

「奇策“宇良スペシャル”だったね」

 関脇で11勝した琴ノ若。初日から6連勝して優勝争いに名を挙げたけど、体のわりには前に出る力が弱いかな。目を見張るほど強い時と、「え? この相手に負けちゃうの?」という時との差が大きい。まだ“ムラ”があるんだよね。体はデカいのに相撲が小さい。「そこで差しにいっちゃうのか?」と思うし、立ち合いにスピードがない。お父さん(元関脇琴ノ若)もそうだったかな。相撲がいつも遅くて“ミスター1分”と言われていたからなぁ。お父さんのマネしなくていいんだよ(笑)。相手が疲れるのを待ってから動き出す感じだから、もっと前に出る力を磨いてほしい。相撲は15日間と長いんだ。スタミナ切れせずに、もっと楽に勝てるはずだよ。ホント、これからが楽しみな存在なんだよね。

 西前頭筆頭で8勝と勝ち越した宇良。千秋楽は身長2メートル超えの北青鵬の膝を持ち上げての奇策“宇良スペシャル”だったね。何度もケガに泣いて、一時は序二段にまで番付を落としたけれど、よくここまで戻って来たよ。腐らずに、真面目にコツコツとやって来たのがよくわかるんだよね。来場所は新三役の可能性が高いけれど、苦労も報われるな。その点では、惜しくも千秋楽に負け越してしまったけれど、同じように大ケガを克服して再入幕してきた友風もそう。若い子たちのお手本になってるよ。

「もう33歳か…」

 西前頭8枚目の熱海富士は、再入幕だった先場所に続いて「準優勝相当」の成績で、最後まで優勝争いを盛り上げてくれたよね。上位陣と当たるのにまだ慣れてないし、千秋楽の琴ノ若戦なども、足が前に出てなかった。彼は、前半戦と後半戦でまったく顔が違うんだよ(笑)。

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