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横浜流星に似てる!とバズった20歳高橋慶帆「大学の学食にも気軽に行けなくなったけど…」男子バレー新星の本音「まだ実力が伴っていない」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAsami Enomoto
posted2023/12/05 11:04
アジア大会で活躍した法政大・高橋慶帆(20歳)。イラン人の父が名付けた「ケイハン」は、ペルシャ語で「世界」を意味する
徐々に自信を持ってプレーしつつあった高橋は、アジア大会で113得点とチーム最多得点を獲得。銅メダル獲得を決めた3位決定戦のカタール戦でも新井雄大(JTサンダーズ広島)に次ぐ20得点と存在感を示した。
「アジア大会のような大きな舞台で日の丸を背負って戦うのは今回が初めての経験でした。最初は緊張したけれど、代表活動で積み重ねてきた経験が、自分を後押ししてくれた。まずは1試合目が勝負だと思っていたので、初戦のアフガニスタン戦でいい入りができたのも大きかったし、そこで波に乗ることができたのかなと思います。試合を重ねるにつれ、ここぞという場面でトスが上がってきて自分が決めるとかリバウンドもしっかりと拾えていた」
8日間で7試合というタイトなスケジュールで足はパンパン、腕も振り切れないという満身創痍状態だったが、そこで得た自信は大きい。ただ、それ以上に課題が浮き彫りになったと高橋は猛省する。
「(代表活動で)打点も上がったし、パワーもついて、点の取り方の幅も広がった。勝負する場面でしっかりと打ちに行くこともできるようになった。でも、難しいボールを打ち切れていたかといえばそうではなかった。スパイクの効果率が高かったのは、自分のところにいいボールがきていたし、いいシチュエーションでトスを上げてくれていたからこそ。二段トスは他の選手が処理してくれましたし、ほとんどストレスなくプレーができていたんです。周りに助けられたからこそ。これからは難しい場面で自分が処理できるような力をさらに身につけていかないといけないし、今後の課題でもありますね」
西田、宮浦…超えるべき分厚い壁
オポジットのポジションには23歳の西田有志や24歳の宮浦健人という強敵がそろう。今後、A代表に名を連ねるためには、彼らとポジションを争わなければならない。
「2人に比べると線が細いし、パワーもない。怪我をしない体作りという意味も含めて、体を大きくすることが求められると思う。あとはサーブ。西田さんも宮浦さんもサーブが武器になっているので見習わないといけない。アジア大会では終盤、疲労もあって勝負しに行けず効果率も下がってしまった。サーブ以外もティップボール、レシーブと……改善すべきところをあげるとキリがないです(笑)」
アジア大会から帰国した後、高橋は代々木第一体育館のスタンドでパリ五輪世界予選のアメリカ戦を観戦している。食い入るように試合を見つめる視線が印象的だった。
「代表のバレーを経験したからこそ、バレーそのものや見る楽しさも感じました。麻野(堅斗・早稲田大)といろいろ話をしながら見ていました。あと、大塚(達宣・パナソニックパンサーズ)さんらB代表で一緒にプレーしていた選手のプレーが見られたこともよかった」
特に、すでにA代表としてパリ五輪予選に出場した同学年の甲斐優斗(専修大)には大きな刺激を受けた。
「大舞台でも物おじせずプレーしていたのはすごかったですね。サービスエースで得点をとったときなんかは、『動画に撮りたかった』と思うくらい、自分のことのようにうれしくて。試合の後に優斗にも『今日見に行っていたよ』『サービスエースすごかったね』と話していたんですけど、アメリカ戦でのプレーには気持ちを奮い立たされました」