7番のJ・バーンズ捕手から3人をチェンジアップ、カットボール、そして最後は147kmのストレートを決め球に3者連続三振。5回15人の打者に対して、1人の走者も出さない完全ピッチングで7つの三振も奪った。

「立ち上がりは固さがあったけど、最初のバッターを打ち取って自分のペースで投げられるようになってきましたね」

　井端監督は続けた。

「こういう国際試合は完投ペースとかそういうことを考えずに、自分の持っているものを出し切れる。そこで自分に対する新しい発見もあるし、もともと早川はこれくらいのピッチングができる力のある投手ですから」

　選手個々が自分自身の力を確かめ、飛躍のきっかけをつかむ。そこもまた24歳以下の若いチームで臨んだこの大会の大きなテーマの1つだ。国際大会という舞台で今まで気づかなかった自分のポテンシャルに気づき、それを所属するチームに持ち帰って来季に臨む。早川にとってはまさにそんな機会となった試合であり、もちろんそのことを本人も自覚している。

「普段はリーグ戦でやらないような配球で良い結果が出たので、来シーズンの引き出しが増えたと思います。来季もこの経験を生かして、楽天の中でも引っ張っていけるような存在になりたいです」

　早川もまた次世代の侍ジャパンの先発候補ということになる。

プレミア12で「半分以上が出てきて欲しい」

　根本、隅田、早川だけではなく初戦で先発した赤星優志投手（巨人）にセットアッパーとして起用された桐敷拓馬投手（阪神）なども、来年の「プレミア12」ではフル代表の一角を狙う候補となるはずだ。

「欲を言えば（このメンバーから）半分以上が出てきて欲しい」

　今回のアジアプロ野球チャンピオンシップを「10年後の日本代表へのスタートとなる大会」と位置付けていた井端監督。だからこそこの言葉は、偽りのない本音だったと思う。