酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《阪神2位指名》「椎葉(剛)の評価が高く、少し怖い感じも」いつもは19時台から本番だが…「え、俺?」最多6人・独立L徳島の会見舞台ウラ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/10/30 17:00
阪神ドラフト2位指名に喜びで顔を上気させる椎葉剛。右は岡本哲司監督
ここまで支配下で3人が指名されているから、少し盛り上がりはおとなしかったが「日本のプロ野球に行くために、カナダから日本に来た」と話したシンクレアはほっとしたことだろう。
さらに内野手の谷口朝陽が育成2位で西武に指名される。
そして、会見場の一番端っこで、リラックスした表情でテレビの画面を見ていた右腕投手・藤田淳平が育成7位でソフトバンクから指名される。一瞬「え、俺?」みたいな表情を見せる。
ソフトバンクは2017年にBCリーグ新潟・渡邉雄大を獲得して以来、独立リーグから選手を獲得してこなかったが、今年は藤田を含めて2人とった。これも大きな異変だろう。
指名されなかった2人の気持ちを思うと…
徳島は8人中6人がドラフト指名を受けた。一挙6人は高校、大学、社会人を含めた全チーム、そして独立リーグ史上でも最多記録となった。「NPBへの選手輩出」を目標に掲げてきた徳島インディゴソックスにとって、最上の結果と言ってよいだろう。
階下の特設会場で多数のファンが待ち受ける中、6人の選手が姿を現す。ドラフト会議のテレビ中継を見守っていたのは8人の選手。しかし、指名されなかった外野手の増田将馬(巨人・増田大輝の弟)、右腕投手の白川恵翔の姿はない。
8人中6人指名は大戦果ではあるが、それでも選に洩れた2人のことを思うとつらい気持ちがある。おそらく「紙一重」だったはずなのだ。2年目の増田は「これが最後」、4年目の白川は「去年もドラフト会見場で座ってダメだったから今年こそ」と語った。勝負の世界の厳しさを感じる。
まさか6人も指名されるとは徳島球団にとっても想定外だったかもしれない。スタッフが「椅子をもう1つもってきて」と慌ただしく動いている。
南啓介社長は「皆さんのご支援があったからこそ、この成果につながった」と話し、岡本監督は「徳島は、選手を育てようと言う環境が非常にいいんです。そこに自分の意志を持って、みんなが成長してくれました」と語った。
「茶野さんと対戦したいです」
忘れてはいけないのは昨年、育成4位でオリックスに指名された茶野篤政の活躍だろう。