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《阪神2位指名》「椎葉(剛)の評価が高く、少し怖い感じも」いつもは19時台から本番だが…「え、俺?」最多6人・独立L徳島の会見舞台ウラ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/10/30 17:00
阪神ドラフト2位指名に喜びで顔を上気させる椎葉剛。右は岡本哲司監督
例年、独立リーグの選手の指名は支配下ドラフトの下位と、育成が中心だ。午後5時からスタートするドラフト会議だが、指名の声を聞くのは19時を回るくらいからである。
「そんなに硬くなっていては、身体が持たないよ」と言いたい感じだったのだが、今回はドラフト2位で、日本海リーグ・富山の右腕、大谷輝龍がロッテから指名を受けた。
この投手は今年後半になって急速に評価が上がっており、先日愛媛県で行われた独立リーググランドチャンピオンシップに詰め掛けた取材陣からは「富山の大谷が159km/hを出したんだってよ」とひとしきり話題になっていた。
又吉と並ぶ「独立リーグ勢最上位ドラフト指名」に
と思いきやその直後、18時台に入ってすぐに、椎葉が阪神から2位指名を受けた。
彼も9月になって159km/hを記録している。やはりNPBは「球が速い投手」を求めているのだ。取材した時に彼は「1年でプロに行く」と強い表現をしていたが、それにしても2位とは――。
独立リーグでは2013年に四国IL香川オリーブガイナーズの又吉克樹が中日からドラフト2位で指名されたのが最上位だったが、今年は2人がそれに並んだ。
「独立リーガーは、入団拒否はないから、実力があっても育成で獲る」といろんな関係者から聞いたが、大谷や椎葉は多くの球団から注目されていた。「上位でなければ指名できない」という認識がNPB側にもあったのだろう。
ひとしきり会見場が盛り上がって今度は右腕投手の宮澤太成が、5位で西武から指名された。北海道大学在学中に独立リーグの門を叩いた異色の投手である。「育成だと思っていた」と本人も驚きの表情だ。
さらに、「四国のギータ」の異名を持つ2年連続本塁打王の井上絢登が、DeNAから6位で指名される。
昨年は育成で3人指名されて、それでも大いに盛り上がったのだが、なんと支配下で3人とは――。支配下指名が終わって、中休みとなる。
岡本哲司監督に「すごいですね?」と声をかけると「椎葉の評価があまりにも高いので、ちょっと怖い感じです」と率直な感想が返ってきた。「3人が支配下で指名されましたが」と聞くと「もう1人、シンクレアは支配下で指名されてもおかしくなかったんだけど」とのことだった。
ホークス育成7位指名の選手が「え、俺?」という表情
育成ドラフトが始まると、そのシンクレアがいきなり育成1位で西武から指名された。