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「もし僕がいま中日で現役選手だったら…」元中日監督・谷繁元信に聞く、“2年連続最下位”立浪中日と岡田阪神は何が違う?「来季優勝は“ある”」
posted2023/10/25 11:02
text by
谷繁元信Motonobu Tanishige
photograph by
Sankei Shimbun
明暗を分けた両チームには、どんな差があったのか。元中日監督の谷繁元信氏が、かつて指揮した球団が直面する多くの課題や“強竜復活”の可能性について語った【全2回の前編/後編へ】。
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「えっ?」がなかった岡田阪神
今年のプロ野球界を振り返ると、なんといっても阪神の18年ぶりのセ・リーグ優勝が大きなトピックでしたね。9月の勝負どころで連勝を重ね、クライマックスシリーズも危なげなく勝ち抜いた阪神の強さの理由については、すでに多くの人がさまざまな角度から分析していると思います。
そのなかで個人的に感じたのは、1年間を通して「えっ?」と疑問に思うような起用や采配、プレーがほとんどなかった、ということ。岡田彰布監督はよく「普通にやるだけ」と強調されていますが、チームとしてそれを徹底するのは簡単なようで、実際にはかなり難しい。首脳陣が目指す“セオリー通りの野球”というものは、選手たちに確かな力量がなければ実現できません。
付け加えるなら、阪神の選手たちは今年1年で劇的に成長したわけではない。金本知憲監督時代(2016~18年)や矢野燿大監督時代(2019~22年)にドラフトで指名された選手たちが、経験を重ねながら着実に力をつけていった結果です。長いシーズンを戦うために必要な体力にしても、技術にしても、一朝一夕で身につくものではありませんから。野手陣の軸となった大山悠輔(28歳)や近本光司(28歳)、中野拓夢(27歳)といった選手たちの安定した活躍は、しっかりと種をまき、芽を伸ばして、花を咲かせるという長期的なチーム戦略あってのものでしょう。
投手陣は当初の思惑とは少し違う陣容になったのではないかと思いますが、エース格の青柳晃洋(29歳)や西勇輝(32歳)が思ったほど稼働できないなかで、村上頌樹(25歳)や大竹耕太郎(28歳)が台頭しました。また、抑えとして想定していた湯浅京己(24歳)のコンディションが整わず機能しないとなると、経験のある岩崎優(32歳)がしっかりとクローザーの役目を果たしてみせた。そのあたりの見極めと切り替え、マネジメントに岡田監督の「うまさ」を感じました。
「直近2年の中日は“どっちつかず”」
一方で、2年連続最下位に沈んでしまったのが中日です。ここではあくまでも自分の目に映った範囲で、中日の“課題”について話をさせてもらいます。