濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「最後は父に土下座しました」177cmの元家庭科教師レスラーと“家族の約束”「3年で芽が出なければ…」レディ・Cの知的でダイナミックな可能性
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2023/10/24 11:03
家庭科の教員を辞め、プロレスラーになったレディ・C。10月のタッグリーグではコスチュームを新調した
「まだ親に“試合を見にきて”と言えてない」
6月、吏南が持つフューチャー王座に挑戦。レディは2021年から歴代王者に挑み、これが4度目の挑戦だった。ベルトを巻くだけでなくチャンピオンとして防衛戦もしたかったから、キャリア3年の期限までギリギリ。吏南戦が最後のチャレンジと決めていた。
レスラー人生の岐路となる大一番に、しかし彼女は勝つことができなかった。熱戦であり、レディが勝ってもおかしくない内容だった。けれどどうしても結果が出ない。成長を“形”にできない。
「スッキリというわけではないですけど、フューチャーはこれで諦めます。正々堂々、今ぶつけられるものは全部ぶつけました。まっすぐぶつかって、まっすぐ負けました」
16歳で自分より長いキャリアのあるチャンピオンの「3年やって芽が出なかったらとか言うけど、メインでタイトルマッチやってやめれんのか? 結局、最後どうするか決めるのは自分なんだよ」という言葉も「まっすぐ突き刺さりました」とレディ。ベルトという形になる結果を求めながら、実は自信が足りなかったのかもしれないとも感じた。
「自分のプロレスに納得できていないというのか、胸を張れるプロレスができているのかなって。親を説得してプロレスを続けたいと思いながら、まだ親に“試合を見にきて”と言えてないんです」
母親は娘の試合に興味を持ち始めたが「たぶんテレビで見られるよ」と曖昧なことしか伝えていなかった。家のパソコンでネットを見ると、検索履歴に「スターダム」などのワードがある。どうやら父親が調べているようだ。それを分かっていながら、試合に招待できない自分がいる。
親がどうこうではなく、最大の課題はもしかしたら自分自身。より細かく言えば、レディ・Cのプロレスを自分が好きになること。それが結果よりも大事なのだ。
記者会見で見せた、納得いかない表情
デビュー3周年に向け、いよいよここからが正念場。そんな時期に試合から離れることにもなった。7月末から9月いっぱい開催されたシングルリーグ戦は出場権を得られず。試合が組まれない大会もあったから、久しぶりに休みらしい休みが取れた。プライベートでの旅行もした。「学生時代以来だったかもしれないです」。
9月には2週間ほど欠場。これはケガによるものだったが、10月から始まるタッグリーグ戦に向けてコンディションを万全にするのが目的だった。負傷箇所を休めながら、有酸素運動などできる練習は続けていたそうだ。それだけ、このタッグリーグにかけていた。
「パートナーが(林下)詩美さんに決まっていたので。タッグリーグ出場は3回目なんですけど、同じQQの選手と組むのは初めて。しかも憧れの詩美さんですからね。一皮むけるならここしかないと思っていました」