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石川祐希、西田有志、高橋藍…「今の日本代表と一緒にやってみたい」“海外移籍のパイオニア”加藤陽一(47歳)が語る日本バレーの20年
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/17 11:02
石川祐希、西田有志、高橋藍と多彩なアタッカー陣が揃う男子バレーボール日本代表。およそ20年前、エースとしてコートに立っていた加藤氏は現在の躍進をどう見ているのか
――加藤さん自身が指導者になられて、もし教え子の選手たちが「海外に行きたい」と言ってきたら、何とアドバイスしますか。
加藤 日本人はすごく器用なバレーボールをします。言われたら何でもこなせる選手が多い。でも、自分にはできないかもと一歩引いてマイナス方向にメンタルが働くと、足が動かなかったり、判断力が遅れたり、できることの半分しかプレーできなくなる。
だから、単に監督やコーチから言われたことだけをやるのではなくて、自分が何をやりたいかという自己表現をしてほしい。それができる若い子たちがこれから増えてくると思っているので、この先日本のバレーボールがどう発展していくかは、僕も指導者として携わっていく中で楽しみの1つですね。
「バレーボールは究極のチームスポーツ」
――昨シーズン限りでコーチとして在籍したJTマーヴェラスを退団し、今季から中国の女子クラブで指導されるそうですね。日本での実績を踏まえて加藤さんが伝えたいバレーボールとは何でしょう。
加藤 僕はバレーボールって究極のチームスポーツだと思っているんです。もちろん技術が向上するよう教えますが、コミュニケーションや自己犠牲の大事さ、人を思いやるプレーがバレーボールには必要です。
新しいクラブの選手たちは体格も環境も恵まれていて、そのままナショナルチームにつながっていく才能ばかりです。中国が築いてきたバレーはあると思いますが、世界で活躍するために何が必要か、僕が経験してきたことを若い選手たちや他の監督やコーチ、その他サポートスタッフの方たちにも伝えられればいいなと考えています。指導者として久光時代から培ってきた10年を中国にぶつけたい。海外で指導者としてよりレベルアップして、いつか日本の選手たちに還元できればと思いますね。
――今回はインターネット代も食費もきっちりクラブが用意してくれそうですか。
加藤 そうだといいんですけど(笑)。中国はYouTube見られないじゃないですか。SNSも独特ですし。言葉の壁もあると思いますが、向こうで試行錯誤しながら、また21年前を思い出しながら生活していきますよ。(※イタリア移籍の苦労話は第2回へ)