酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラフト指名漏れ、12球団戦力外選手の合流も?「一軍を持たない新球団」1952年以来の参加…「ハヤテ223」45歳代表の決意とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHayate 223
posted2023/10/10 11:00
新球団である「ハヤテ223」が本拠地とする清水庵原球場。静岡の地をベースにウエスタン・リーグで戦うことになる
本拠地となる静岡市営清水庵原球場は2005年開場と比較的新しいが、ハヤテ側は内外野のフェンスの安全性の強化や、現在は「薄暮対応」になっている照明の強化などの整備を市に求めるとしている。
筆者は「指定管理者になるか?」と質問したが、それはないとのこと。球場にハヤテグループとして看板を設置したり、積極的に物販ビジネスをすることは当面なさそうだ。清水駅から遠いことなど、解決すべき問題は多い。
野球人脈とは色合いの違う清新さ
当初、イースタン・リーグへの参加を考えていたが、最終的にウエスタン・リーグ参加となったことで杉原氏は「初期設定が変わった」と認めた。しかしハヤテグループとしてしっかりサポートしていくと言った。
「今回参加するのはファーム・リーグですから、一軍戦のような華やかな興行が打てるか判りません。しかし、セでもパでも無ければイでもウでもない、唯一無二の職業球団になることを掲げています。カテゴリーも問わず野球ファンに足を運んでもらえれば経営も安定する。そうやって球団の存在意義を出していきたいと思います」
このようにも決意を語っている。
野球界は何十年にもわたって「業界人脈」で固まっていた。杉原氏の記者会見は、野球人脈とは色合いの違う清新な印象を受けた。謙虚で、しかもトライアルの意気に燃える若々しさも感じた。
1952年の「山陽クラウンズ」はどうだった?
実は「二軍だけのプロ野球チーム」は、今回が初例ではない。1950年、関西の神戸と姫路を結ぶ山陽電鉄は一軍チームを持たない二軍だけのプロ野球チーム「山陽クラウンズ」を創設。1952年にはウエスタン・リーグの前身である関西ファームリーグに参加したが、この年の10月、経営難のため解散した。
ハヤテも新潟も、山陽の二の舞になるわけにはいかない。球団自身の企業努力に加え、NPBや地元、ファンの気長な支援が必要だろう。新しい事業を興す時には、エネルギーが必要だ。新たなビジネスモデル創出に期待したい。