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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「もうドリブルからして別格でした」フロンターレ鬼木監督が衝撃を受けた三笘薫と守田英正の話「非常に悩まされた選手」と語ったワケ
posted2023/10/07 17:57
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE
“自己矛盾”を突きつけられた選手
選手それぞれが己の特長を存分に出していけば、自ずとチームの勝利に近づいていく。
2017年シーズンから川崎フロンターレを指揮し、監督として歴代最多となる4度のJ1制覇を成し遂げている鬼木達の揺るがぬポリシーである。
「選手の特長が出ないっていうのはやっぱりつまらないし、特長を出していったほうが勝つ確率も上がるっていう考え方なんです。それにこの世界は見てくれる人たちがいるから成り立っている。このことを頭から外したことはありません。ファン、サポーターに勝って喜んでもらうのが一番ですけど、人々を魅了したり、楽しませたりすることが自分たちの原動力にもなっています」
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攻守に圧倒していくスタイルを前面に押し出して監督キャリアを積み上げていくなか、“自己矛盾”を突きつけられた選手がいた。それがブライトン、日本代表で圧倒的な存在感を示している三笘薫だった。筑波大から2020年に鳴り物入りで加入した彼に、シーズン序盤はスーパーサブの役割を与えていた。
「もうドリブルからして別格でした。間違いなく状況を、ゲームをガラッと変えてくれるし、点も獲ってくれる。でもあるとき思ったんです。チームにとって一番影響力のある選手がゲームの途中から出ていくっていうのが、本当にいいのかなって。自分がチケット代を払って観戦するファンの立場なら、最初から見たいはず。ゲームをガラッと変えてくれるから切り札的に使っているけど、薫が長く出たほうが勝てるっていうふうにしなきゃいけないんじゃないか、と。そういう意味では非常に悩まされた選手ではあったんです」
人々を魅了したいと言っているくせに、そうしていないんじゃないかと自分にツッコミを入れた。加入当初の三笘に、守備面、体力面にまだまだ物足りなさを感じていた。年代別の代表活動では、招集中にどうしてもパフォーマンスが落ちてしまう傾向があるとも聞いていた。つまり、タフとは言えなかった。課題は明確なのだから、ここをクリアしていくよう本人にも求めた。
ターニングポイントになる出来事があった。チームが10連勝をマークして臨んだ2020年8月23日、アウェーでの名古屋グランパス戦。ここまで3戦4発と絶好調の三笘も2度目の先発起用となった。しかし後半途中、左足を痛めて倒れ込み、そのまま交代に。試合も0-1で敗れている。
チームは中2日、同じくアウェーでのヴィッセル神戸戦を控えていたため、川崎に戻らないで名古屋から直接、神戸に向かうことになっていた。負傷した三笘は幸いにも大事には至っていなかったものの、チームを離れて川崎に戻ることになった。
「本当にそれでいいのかなって」
鬼木は自問自答したという。