「藤井先生を見ると、まったくそういった震えがなかったんです。同じく飲み物を飲もうとしても、一手を指すときの手つきも、堂々とされていました。ただただビックリして〈すごいな……〉と感じるほかありませんでした」

　同大会で行方八段を破った藤井七段は、決勝で渡辺明棋王を破って、同棋戦の連覇を達成した。そして小高さんが高校1年生の時に感じた衝撃と風格をさらに強めて――同い年の俊英棋士は瞬く間に駆け上がり、今や最年少竜王・名人、そして史上初となる八冠に向けて歩みを進めている。

「昔から同い年と思えないほどの方ですし、ただただすごい方を間近で見られている、としか考えることができないんです。でも“同い年だからこそ”応援しているという部分は心のどこかにあるのかなとも思います」

2023年の竜王戦第1局　©日本将棋連盟

羽生九段からの「小高さん、中飛車党だもんね」

　そんな小高さんは、同学年である藤井七冠とともに、日本将棋連盟の現会長である羽生善治九段からも感銘を受けたことがある。それは2022年に開催された「ねこまど将棋」でのこと――。

「小高さん、中飛車党だもんね」

＜第2回につづく＞