ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「あそこまで逃げられると…」寺地拳四朗が“曲者”ブドラーを仕留めた「通せんぼ作戦」とは? TKO勝利の内幕を“名参謀”が深掘り解説
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2023/09/20 17:00
ヘッキー・ブドラーに強烈な右ボディを打ち込む寺地拳四朗。老獪な挑戦者をTKOで退けるまでの戦略を、加藤健太トレーナーに聞いた
8回以降、あのまま試合が進み、判定までもつれたとしてもブドラーが後半すべてのラウンドを抑えるとは考えにくく、寺地の勝利は動かなかっただろう。ただ、寺地が「判定で終わるのと、KOで終わるのではお客さんに与える印象はたいぶ違う」と言うように、尻すぼみの判定決着ではファンからため息がもれたはず。しっかり切り替えて仕留めたことで寺地の評価はまた高まったと言えるだろう。
3団体統一戦に向けて得た大きな学び
この試合をクリアし、目標とする4団体統一戦につなげるという陣営のシナリオが一歩前に進んだ。次戦のターゲットはWBO王者のジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)。いったん4月に決まりながらゴンサレスのマイコプラズマ肺炎によりキャンセルとなった因縁の相手だ。
この試合が次に実現するかどうかは今後の交渉次第となるが、加藤トレーナーは今回のブドラー戦がゴンサレス戦にいきるとの手応えを感じている。
「今回は練習段階からすごく学びがありました。ゴンサレスはサウスポーでブドラーとタイプも違いますけど、徹底して(リングを)回ってくる相手をどう詰めていくかというところで、今回の練習と試合がすごく役に立つと思います」
寺地が加藤トレーナーとのコンビで作り上げるボクシングはさらなる進化を遂げた。次戦で3団体統一戦が実現することを大いに期待したい。