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「3ポイント決定率10分の0」…なぜ富永啓生のシュートは入らなかった? それでもチームメイトが賞賛する“納得のワケ”《バスケW杯オーストラリア戦》 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2023/08/30 17:01

「3ポイント決定率10分の0」…なぜ富永啓生のシュートは入らなかった? それでもチームメイトが賞賛する“納得のワケ”《バスケW杯オーストラリア戦》<Number Web> photograph by FIBA

決められなくても最後まで3Pシュートを放ち続けた富永の姿勢はチームの戦術の象徴でもあった

 そうまくしたてた馬場は前回大会の経験があるからこそ、強豪国相手に真っ向勝負を挑めた時間帯に希望を見出す。

「第3Q、4Qだけを見ると、互角に戦えているので。(NBAの)オールスターメンバーみたいなオーストラリアに対して、以前の僕らならここまで戦い抜くということすらできなかったと思うんですよ。今は本当に、自分たちを信じてやれている。だから僕も含めて、みんな希望しかないと思います」

 オーストラリアに敗れた日本は、グループリーグ3試合を1勝2敗で終え、二次ラウンドへは進めなかった。ここからは順位決定グループを2試合戦うことになる。

 ただ、この2試合が消化試合にならないのは、この大会に出場するアジア6カ国で最高の成績を残したチームに、来年のパリ五輪の出場権が与えられるからだ。

 五輪出場権は、日本が最大の目標としているものである。8月29日時点で勝利を挙げているアジアの国は日本だけ。二次ラウンドへ進めなかった2チームと戦う順位決定グループで2連勝すれば、パリ行きのチケットをかなりの確率で手にできるはずだ。

 富永がオーストラリア戦で最後まで3Pシュートを打ち続けたこと。それは、その成否以上に「自分たちのバスケ」を優勝候補相手にも貫けたところに大きな意味がある。

「データ」で示された富永という選手の意義

 あるデータがそんな日本バスケの正しさを雄弁に物語っている。

 バスケの世界では、各選手の試合への貢献度を示す、+/-という指標がある。その選手が出ていた時間帯に、チームの得点と失点がどのくらい積み重ねられたかを表したものだ。例えば、+5であればその選手が出場している時間帯にチームは相手よりも5点多く取っていることになるし、-3であれば相手チームよりも3点少ないということになる。得点力だけではなく、守備での貢献度も測れることから、この指標を重視する指揮官も多い。

 ここまで1勝2敗の日本のなかで、誰が最も良い数字を残しているのか?

 現時点では負け越しているので、日本の選手は軒並みマイナスになっている。そのなかでこの指標がプラスの選手が“1人だけ”いる。平均出場時間はチーム6番目で、+5.7というチームのなかでダントツの成績を残しているのは――。

 そう、富永啓生である。

 激しいディフェンスをした上で、3Pを多用するハイペースなオフェンスをしかける。チームが目指す戦いができれば、相手を上回ることができる。ホーバスHCの求めるバスケの申し子である富永の成績は、それを裏付けるデータとなっている。

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