沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER

熱中症などで2頭が犠牲に…“伝統の祭”相馬野馬追の現場で何が起きていたのか?「あらかじめ策を講じていたが…」「日程変更には大賛成」 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byAkihiro Shimada

posted2023/08/26 17:01

熱中症などで2頭が犠牲に…“伝統の祭”相馬野馬追の現場で何が起きていたのか?「あらかじめ策を講じていたが…」「日程変更には大賛成」<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

熱中症などによって2頭の馬が亡くなった2023年の相馬野馬追。人馬の安全のため、開催日程の変更が検討されている

 この夏の猛暑に関しては言わずもがなだろうが、もともと馬は、尻尾が凍りつくほどの寒さは平気でも、暑さには弱い。

 野馬追の開催は、梅雨明けに合わせて7月最後の土曜日から月曜日となっているのだが、南相馬市が昨年12月に騎馬武者たち(対象者461人、回答者256人)に開催日程変更についてアンケートを実施したところ、53%が変更に賛成(反対19%、どちらでもない28%)するなど、以前から議論の的になっていた。

「日程変更には大賛成」現地で感じた猛烈な暑さ

 人馬の熱中症を受けた相馬野馬追執行委員会の動きは迅速だった。

 記者会見の翌日、8月8日には公式サイトで開催日程変更について、市町村や騎馬会、医療関係者などで組織する検討会を実施することを発表。そして8月10日に、第1回相馬野馬追日程変更検討会を開催し、来年から日程を変更すること、開催時期は前倒しとして、5月下旬から6月の開催を軸とする案を事務局より提示したうえで、お盆明けに第2回検討会を開くことなどを決定した。

 第2回相馬野馬追日程変更検討会は、8月27日(日)に開催されることになった。

 そうした動きと並行して、第2回検討会の前日には、サンライフ南相馬(原町生涯学習センター)で、JRA競走馬総合研究所の向井和隆上席研究役を講師として招き、「令和5年度馬飼養環境向上講座 ~馬の熱中症とその対策について~」が実施されることになった。

 野馬追の担い手である騎馬武者たちは、伝統をつなぐために日程を変更し、馬に対する理解をさらに深めようとしているのだ。

 筆者は、東日本大震災による被災馬取材の一環として2011年に初めて相馬野馬追を取材してから、コロナ禍のため関係者による神事のみとなった2020年を除き、毎年野馬追を取材している。熱中症対策と日焼け対策、虫よけ対策をつづけてきた立場から、日程変更には大賛成である。特に日曜日の「本祭り」当日は、朝8時ごろ駐車場に車を停めないと祭場地までものすごく長い距離を歩くことになるのだが、それから騎馬武者行列が祭場地に到着する10時過ぎまで待機しているだけで消耗してしまう。陽射しを遮るものも、座る場所もないのだ。車に戻ると車内は50度を超えていることもある。毎年3泊4日で取材しているのだが、あまりにキツいので、来年からは期間を短縮しようかと思っていたところだ。

【次ページ】 相双地方における“人と馬の関係性”とは

BACK 1 2 3 NEXT
#ブラックホール
#クリスタルウイング
#ダコール
#マイネルスフェーン
#アングライフェン
#トーセンブレイヴ
#キタサンチャンドラ
#ウォースパイト
#マドリードシチー
#アスクビクターモア

競馬の前後の記事

ページトップ