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甲子園の監督たち“テレビには映らない”本音の試合後コメント「おでんと一緒です」「俺はもう満足した」…見えた“勝ち上がるチーム”の特徴
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/20 17:02
甲子園の試合終了後、「本音のコメント」に勝つチームの特徴があった(写真は今夏甲子園ベスト4進出を決めた土浦日大)
「佐賀北の監督になったとき言ったのは、いちばんの目標は『全国制覇』、中くらいの目標は『甲子園ベスト8』、最低の目標は『甲子園に出場すること』だということでした」
中学陸上界の名将、原田隆史の『カリスマ体育教師の常勝教育』という本の中にあった「最高の目標」「中間の目標」「絶対にできる目標」という三段階方式の目標設定を参考にしたのだ。
目標設定で大切なのは1つの目標をクリアしたとき、「まだできるかも」という余白を残しておくことなのだろう。
土浦日大の監督も…「俺はもう満足した」
おかやま山陽と神村学園の前の試合で、ベスト4進出を決めていた土浦日大も、甲子園における目標は「ベスト8」だった。ただ、自身が選手として取手二高時代に全国制覇の経験のある監督の小菅勲はこう言い続けてもいた。
「自分をみくびっちゃいけないよ。8月の1カ月間で、別人になることがある。おまえらに、その土台はあるんだから」
3勝した後、小菅は選手にこう言ったという。
「俺はもう満足したから。あとはお前たちで決めろ」
だが選手たち…「ぜんぜん満足していない」
キャプテンの塚原歩生真に選手ミーティングで出た答えを問うと、怒ったような顔をして言った。
「学校関係者はお腹いっぱいになっているみたいだけど、自分たちはぜんぜん満足していない。甲子園で優勝するためにやってきたので」
甲子園ベスト8という一つの勲章を得たあとの戦い。そこで必要なのは、この激しい渇きだ。
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