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内藤哲也がG1優勝後に語った「IWGP王座よりも東京ドームのメインの方が上」…満身創痍の41歳は“4年越しの大合唱”を実現できるのか
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/08/16 17:22
6年ぶり3度目の『G1 CLIMAX』優勝を果たした内藤哲也は、来年の東京ドーム大会のメインイベント出場を決めた。8月13日、両国国技館
両国国技館に響いた「デ・ハポン」の大合唱
優勝決定戦はゆっくりとしたテンポの試合になった。内藤がオカダをグラウンドに誘い、複合的に攻めて時間が経過していった。一連の攻防の間に、内藤が前日の疲労を癒しているようにも見えた。内藤はバックブリーカーというよりはオカダの首に狙いを絞っているようで、オカダの首筋を自らのヒザに落とした。内藤は場外戦でもオカダの首を攻めた。エルボーも首筋に連打した。これでオカダはリングにヒザをついた。
オカダのラリアットは内藤に命中したが、レインメーカーが内藤を捉えることはなかった。最後は乱れ打ちのようなデスティーノとパイルドライバーの対決を内藤が制した。内藤はコブラクラッチもレインメーカーも回避した。あえてレビューするならば、身を任せたような体勢からのデスティーノが内藤の勝因だった。
試合後の喜びの中、眼を充血させた内藤は記者に囲まれていた。
両国国技館の2階スタンド席は満員だったが、高額な料金設定だったためだろう、マス席には中間に空席が目立った。普段、マス席を購入している人でさえ、窮屈な4人マス席を嫌い2階席を求めた人も多い。
実際に2階席にいた観客は、ぽっかりと空いたマス席の空席を指さして、「まるであそこの席は売っていないみたい」と言っていた。
入場時に客席に視線を投げていたオカダはこの空間をどう感じたのだろう。観客数は8283人。満員には約3000人足りない。
それでも、圧倒的な内藤コールが両国国技館に響いた。
「あれを聞いて、気持ちいいと思わないレスラーはいないでしょう。そして『デ・ハポン』の合唱。今は何も考えたくない。とにかく、この『G1 CLIMAX 33』を無事に終えられたこと。そして優勝という最高の結果を残し、今日この場所に立てていることをうれしく思いながら、いい夢を見たい」
にんまりと微笑みながらそう言っていた内藤は、翌日の会見で続きを語った。
「オレの中でG1 CLIMAXって言ったら、やっぱり真夏の両国っていうイメージが強かったので、真夏の両国で開催されるG1 CLIMAX優勝決定戦、しかも歓声ありの状況でのG1 CLIMAX優勝。そして試合後の『デ・ハポン』の大合唱。メチャメチャ気持ち良かったです。オレとしてはいい夏を過ごせたかな。(これで)東京ドームのメインイベントに戻れるんだ……」
2020年1月5日、KENTAの乱入によって阻止された「デ・ハポン」を、4年越しに東京ドームで大合唱する準備が整った。