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「甲子園に行くってメリットあるんですか?」有望中学生の質問にハッとした話…好きなプロ野球選手は“とにかくカッコいい”マックス・クラーク 

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樫本ゆき

樫本ゆきYuki Kahimoto

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posted2023/08/03 11:02

「甲子園に行くってメリットあるんですか?」有望中学生の質問にハッとした話…好きなプロ野球選手は“とにかくカッコいい”マックス・クラーク<Number Web> photograph by Yuki Kashimoto

ポニーリーグ、6月のアジア大会「U16コルトの部」で優勝した日本代表選手たち

あの「IMGアカデミー」への挑戦…家族会議も

 松本は8月、ある挑戦をする。錦織圭らを輩出した中高一貫の私立学校、IMGアカデミーのサマーキャンプに参加するのだ。「とにかく打ちまくるしかないです。高評価をもらえたら、高校入学へのチャンスをもらえる可能性がある。英語力と面接の勉強もしなくてはいけません」。破格の学費がかかることで有名なIMG。家族会議で話し合い、世界のレベルを知る「武者修行」を決めた。

進路は「自分でよく調べます」

 10年後、自分がどうなっていたいかを松本に聞くと、未来を見据えながら慎重に話した。

「25歳か~。理想のビジョンで言うと、IMGに入れたらアメリカの大学に進んで、MLBドラフトでメジャーに入れたらそのまま挑戦。そのためにどういう道を進んだらいいか、自分でよく調べます。日本でやることを含めて、自分で調べて考えて行動しないと、行き当たりばったりでは失敗するので……」

 前例はまだない。2018年に日本人で初めて中学卒業から直接MLB(ロイヤルズ傘下)と契約した結城海斗はすでに現役引退。アメリカ生まれで高卒からヤンキース傘下に入団、現在日本ハムで活躍する加藤豪将もいるが、厳しい道であることは確かだ。

 多くの野球少年の憧れが「甲子園」であることは揺るぎない。しかし、ある一人の中学生からの素朴な「問い」を聞くにつけて、その憧れ方や、キャリアプランニングに変化が起こり始めていると感じた。

 ほかにも、日本の強豪校を経て、米大学に進学した日本人もいる。今年のMLBドラフトでホワイトソックスから指名を受けた西田陸浮である。

〈つづく〉

#2に続く
MLBドラフト指名・西田陸浮(22歳)が語る“メジャー目指して留学”の実情「英会話経験ゼロから…」「奨学金400万を“自ら獲得”」

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