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「スポーツじゃなくてゲームでしょ」藤澤五月“驚きのボディメイク挑戦”はなぜ画期的だった? カーリング選手が闘う「フィジカル不要論」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2023/07/30 17:00
ボディメイクコンテスト「MOLA CUP」に出場し、驚くべき肉体を披露して話題を呼んだ藤澤五月
なぜカーリングには筋肉が欠かせないのか?
でも実際は、先に記したとおり選手はウエイトをはじめさまざまなトレーニングに取り組んでいる。競技に必要であるからだ。
例えば、スイープ。氷をストーンで掃く動作は目にしたことがあるだろう。1試合続ければ相当の負荷がかかり、こなすには筋力が欠かせない。
そもそもストーンを投げるにも、体幹や筋力は必要となる。前後に大きく足を広げ、しゃがみこんだ姿勢をとるが、その状態で、しかも氷の上で正確なフォームを維持するには筋力とともに身体のコントロールが欠かせない。
そしてカーリングの試合時間は長く、スイープも、ストーンを投げるのも相当数になる。試合が進むにつれて疲労していけば、体力が落ちていき、さらに集中力も下がっていく。それを防ぐためにも筋力をはじめフィジカルの強化をおろそかにはできない。
見せつけたストイックさと地道な努力
しかも大会となれば連日、あるいは1日に2試合戦うケースもある。疲労が蓄積していけば当然、パフォーマンスも落ちてくる。高度な技術を発揮するためにも、筋力をはじめとするトレーニングが重要である理由がそこにもある。
幸い現在はカーリング選手のトレーニング風景などが伝えられる機会も増え、そうした誤解は薄れてきているように思える。
それにしても、約2カ月半であそこまで鍛え上げることができたのは、やりたかったというモチベーションはあるにしても、ストイックさと地道に努力を重ねられる力があってこそだ。藤澤がトップアスリートであることをあらためて示してもいるし、またカーリングへの見方にも新たな色を加えた、画期的な挑戦であった。
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