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「令和闘魂三銃士」と命名された男たちの反発「全然納得できないし、ピンとこない」…海野翔太と成田蓮と辻陽太、『G1』で抜け出すのは誰なのか?
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/07/19 17:01
『G1 CLIMAX 33』開幕戦で「アイツだけには負けたくない」とライバル心をむき出しにする成田蓮と海野翔太。7月15日、北海きたえーる
ヤングライオン時代からのライバル対決は引き分け
開幕初日、海野と成田はリーグ戦を戦った。ヤングライオン時代から、海野と成田は意地の戦いを見せていた。加えて今回のネーミング問題もある。燃えないわけにはいかなかった。
海野は一部の外国人レスラーから「タナハシ」と言われ、成田は「シバタ」と呼ばれる。リングコスチュームもファイトスタイルも確かに模倣しているわけだから、それは否定できない。
海野に至っては、「棚橋と間違っちゃう」というファンの声も耳に入ってくる。
ともに初出場の海野翔太と成田蓮による対決。初々しかったヤングライオン時代をつい思い出してしまう。派手な入場の海野に対して、静かな成田。このコントラストがちょっといい。
「Aブロックは、同世代、新世代といわれるメンバーがそろっています。はっきり言って潰し合いだと思っています。同じ檻の中に入れられて、誰が一番強いか、誰が一番抜けられるか、その競い合いがAブロックで起きます。ただボク自身は、その檻から一刻も早く出て、トップ戦線に食い込んで、優勝することしか考えていませんので。このメンバーと戦って、熱い熱い試合をして、しっかりとAブロックを勝ち上がって、G1優勝を目指したいと思います。『令和闘魂三銃士』とくくられましたが気にせず、ボクらはボクらなりの戦い、ボクはボクの試合をしっかりして、G1を戦っていきたい」(海野)
20分1本勝負は凝縮された内容で、互いの意地が感じられた。多種のスープレックスや打撃の攻防、そして締め合い。20分という時間は短すぎるとも感じられた。ただ、実際の時間以上にお互いが消耗した戦いでもあった。
時間切れ引き分けに終わり、やっと起き上がった2人は、確認し合うようにリング上で対峙した。海野は言った。
「悔しいの一言です。20分とか、30分とか、関係ないから。その時間内に仕留められなかったオレが悪いし、アイツも粘って、強さを見せただけだ。ただ、これで終わりじゃねえぞ。今日の結果は引き分けだったけど、必ず、白黒つけてやるよ。同期のアイツだけには、絶対に負けられない。何があろうと、アイツより一歩先に、一歩早く立ち上がってやるよ。簡単な話、成田、必ず決勝に上がってこいよ。決勝で、また1対1で、決着つけようぜ」
2人がこのG1で再び戦えるチャンスは、決勝のリングだけだ。もしそうなったときには、「あれは決勝のためのリーグ戦だった」とも言えるだろう。