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コンテスト出場からプロレス界へ…トレーナー兼業レスラー・竹林早苗が語る“肉体美と筋肉のバランス”「痛くないから、は嘘でした(笑)」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byL)BEST BODY JAPAN、R)Shiro Miyake
posted2023/07/15 17:02
ベストボディ・ジャパンへの出場を続けながら、プロレスラーとしても活動する竹林早苗
コンテスト出場から、プロレスラーデビューへ
プロレスをやらないかと誘われたのは、2018年の1月頃だ。ベストボディ・ジャパンがプロレス部門を作ることになり、そこでコンテストの常連をレスラーデビューさせるプランがあるという。ベストボディ・ジャパンCEOの谷口智一は元DDT所属のレスラー。本人も「ベストボディ・ジャパンプロレス」旗揚げとともに現役復帰を果たしている。
「最初はビックリしました。私はただの出場者なので、偉い人から連絡がきて“私、何かやらかしたのかな?”って(笑)」
それまでプロレスを見たことがなく「怖いイメージがありました」。しかしその頃はアイドルなど異業種からのプロレス挑戦が増えていた。竹林がデビューしたベストボディ・ジャパンプロレスの旗揚げ戦では、グラビアアイドルの白川未奈(現スターダム)もプロレスラーとしての第一歩を記している。
「当時はAKB48のドラマ『豆腐プロレス』もあって“AKBもやってるんだから”と勧誘されました。でも“痛くないから”というのは嘘でしたね(笑)。受身はもちろん、ロープが硬いのにも驚きました。ロープワークで背中がミミズ腫れになっちゃう人もいるくらい」
無我夢中のデビュー戦
当時は家と会社を往復するだけの生活。何か新しいことをやってみたかった。「嫌だったらやめればいいし」という気持ちでもあった。デビューまでの練習期間がはっきり決まっていたのもよかったのかもしれない。
「練習を始めたのが2018年の3月で、デビューする旗揚げ大会が8月と決まっていたんです。“うまくなったらデビューしよう”では、いつまでたっても上達しなかったかもしれないですね。“8月までに試合ができるようになる”という明確な目標があったので頑張れました」
デビュー戦はひたすら無我夢中。教わった技を繰り出すだけで精いっぱいだった。練習と実戦の違いも感じた。
「道場では一つの技を丁寧に決める、しっかり受けるという練習をしてるんですけど、試合はそこで終わらないんですよね。技を出しても受けても、その続きがある。すぐに攻めていかないと相手に攻撃されてしまうので。練習でもスパーリングをするんですが、試合になると予想外の展開もありますし」
団体自体がコンテストとの“兼業”だからか、大会数は他の団体に比べても少ない。選手層も薄い。ただそのおかげで、他団体やフリーの人気選手と闘う機会に恵まれた。
「チェリーさんや赤井(沙希)さんから試合のたびにいろいろアドバイスをいただいて、凄く勉強になってます」
ベストボディ・ジャパンプロレスの世界スーパーボディ級タイトルを獲得し、女子王座を保持していた2AWの進垣リナ(2021年に引退)とダブルタイトルマッチを行なったことも。
「まさか自分がプロレスのチャンピオンになって、ベルトをかけて闘うことになるとは思ってなかったです。今でもよく覚えている試合ですね。凄い経験をさせてもらったなと」