欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
長谷部誠39歳は、なぜ現役生活を“延長”したのか? 今季最終戦で明かした“来季やりたいこと“「もっとできるなという感覚が自分の中にある」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2023/06/24 11:00
カップ戦「DFBポカール」は準優勝に終わったフランクフルトの長谷部誠。最終戦の後に長谷部の口から語られたのは…
岡崎「ほんとにすごいと思います。もう年齢的なことってだけで試合に出れてないっていう状況もあったじゃないですか。よくあんな冷静に自分をコントロールできるなって。もはや異次元やなって思うんですけど(笑)。
僕だったらやっぱり試合に出たい。練習で自分の方がいいと思ったら、そうした感情が絶対生まれてくる。多分僕はやっぱりFW気質なんでしょうね。違うチームを選ぶ冒険タイプだと思う。けどハセさんはそうやって自分の力を最大限に出せるところを選んで、長く続けるっていう道を選んでる。本当に尊敬します」
達観しているかのような長谷部。そのセルフコントロール術はプロ選手として最終形態にまで到達しているのかもしれない。だからといって試合に出場しなくても大丈夫となったら契約延長をしようとは思わないだろう。
競争がある喜び
フライブルク戦後にこう話していた。
「今日しっかりと見せていれば、カップ戦決勝でまたスタートから出れるかなと。そういう気持ちで臨みました」
そういって少し茶目っ気に笑った。プロ選手として一つ一つのチャンスを生かすべく長谷部は戦い続けているのだ。そしてリーグ最終節から1週間後、ベルリン・オリンピアシュタディオンのピッチに長谷部は立っていた。優勝には手が届かなかったが、CL常連のライプツィヒの猛攻に懸命に立ち向かう長谷部がいた。
いったいどこまで成長できると思っているのだろう。そんな素朴な疑問をぶつけてみたことがある。
長谷部「うーん、そうですね。今シーズンもプレーヤーとしての学びはあったし、その中でまだまだもっとできるなっていう感覚が自分の中にあるんですね。それを持っていないとそれ以上は望めない。それは引き続き、来シーズンに向けてやっていきたいです。日々の練習にも競争がある中でサッカーができることに、やっぱり非常に喜びを感じている。この喜びを来シーズンも感じていたいなっていうのはあります」
長谷部にとってフランクフルトでの10シーズン目が始まる。今も枯れない野心とともに。