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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
21分間で4ゴール…湘南・町野修斗のJリーグ史上初の大記録はいかにして生まれたのか?「記録は、死ぬまで抜かれたくはないですね(笑)」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/06/10 11:04
Jリーグで得点ランク3位タイの8ゴールをあげている湘南ベルマーレのFW町野修斗
「何を考えているのかよく分からない、みたいに言われることもあります。そこはあんまり意識してないですけど(笑)。(精神的に)フラットな状態にしようとしているので、プレー中は自然体でそうなっているのかもしれませんね。
意識的に、ゴール、ゴールとなったらリラックスもできない。でも逆にリラックスしすぎたり、ミスを怖れて半端なプレーばかりしていたら、ゴールを狙うシーンが来たときにそれを選択できなかったりというのも経験としてある。そのバランスを見ながら、うまくやんないといけないなとは思っています」
前半4ゴールという記録は、死ぬまで抜かれたくない
そしてJ史上初となる前半4点目も、実に町野らしかった。
同42分、ペナルティーエリア右の角付近で右サイドからの横パスを左足でトラップしてすぐさま右足で中にいる阿部浩之へ。ボールは左サイドに渡ってクロスが送られ、対角線上にいた町野が右足で流し込んだ。
最初にパスを受けるときはシュートの体勢に入る選択肢もあったはずだが、トラップの状況、相手の状況、味方の状況を頭に詰め込んだうえでフラットにして判断したことがうかがえる。かくして史上初の離れ業は、21分間で達成された。
「Jリーグ30周年ということで盛り上がりもありますし、何か個人の記録を残せたらいいなとは思っていました。それにはゴールがやっぱり最高だし、ガンバ戦でつくれた前半4ゴールという記録は、死ぬまで抜かれたくはないですね(笑)」
Jの歴史に名を刻むことは、目標に置く「無双するくらいの活躍」に通ずるもの。彼は純粋にこの記録の達成に喜びを感じている。
どのようなストライカー像を目指しているのか。そう問うと目力のある23歳はハッキリと言った。