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「バスケはすっごい、すっごい楽しい」八村塁がNBAレイカーズで思い出した“原点”とは? 敏腕コーチと最高のお手本に囲まれた濃密4カ月
posted2023/05/30 11:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
「バスケはすっごい、すっごい楽しいです」
明成高校時代にウインターカップ優勝インタビューで八村塁が口にした名言だ。満面の笑みで言ったこの言葉は、日本のバスケットボールファンに大きな印象を残した。
しかし、この1、2年ほど、八村にあまり笑顔が見られなくなっていた。大好きで、楽しいはずのバスケットボールをしているときも、試合後のインタビューでも、チャームポイントのえくぼを見せることが減り、言葉数も少なくなっていった。
目標としていたNBAに入って1年目でコロナ禍という異常事態。想像以上のNBAの過密スケジュール。母国日本で行われた東京五輪のプレッシャー。ワシントン・ウィザーズのチーム編成が変わったことによる役割の変化。勝つより負けることのほうが多いチーム状況。そのどれが原因だったのか、あるいはすべてが重なってのことだったのか、苦しい時期が続いた。東京五輪が終わった後には、「個人的な理由」でシーズンの半分をチームから離れて過ごした。メンタルヘルスの問題で休養が必要だったと言われている。
転機となったレイカーズへのトレード
そんな中、今年1月下旬になって八村に大きな転機が訪れた。ロサンゼルス・レイカーズにトレードになったのだ。
表向きにはチーム同士のトレードによる移籍だが、シーズン後にフリーエージェントになる立場だったこともあって、八村側にも選択の余地があった。オフに再契約する意思がない選手を獲得するのに多くの代償を出すチームはないからだ。いくつか候補のチームがある中で、代理人のアドバイスを受けて八村が選んだのはレイカーズ。過去17回優勝した伝統あるチームで、歴代で一、二を争う名選手、レブロン・ジェームズもいる。ただ、1月下旬の時点では、開幕直後の不振が響いて負け越しの成績だった。
トレード時の判断について、八村は、シーズンが終わった後の会見で、こう明かしている。